危険な食べ方1:「野菜ファースト」で肉は少し

1日3食のタンパク質必食で寝たきりを阻止

 まず、60代以降の食事でいちばん心がけたいのは、タンパク質を積極的にとること。

「65歳を過ぎると、一気に足腰の筋肉量が減って筋力がキープできなくなり、身体が弱る“フレイル”状態を引き起こす人が増加。“寝たきり”の入り口に立ってしまうわけですが、それを防ぐために必要なのがタンパク質です。

 特に、年齢を重ねると食が細くなってタンパク質の摂取量自体が不足する上、吸収能力や筋肉をつくる力も落ちていくので、3度の食事でしっかりと取り入れることを意識しなければいけません」(菊池さん、以下同)

 タンパク質が役立つのは、筋力の保持だけではない。不足してしまうと体力の低下とともに免疫力が下がったり、貧血になるなどして病気にかかりやすくなる。さらに、脳の働きが悪くなり、思考力、記憶力等の低下も招く。

 では、しっかりとタンパク質を摂取するためにはどうすれば? 菊池さんがおすすめするのは、“肉・魚ファースト”の食事だ。

「血糖値を急激に上げないために野菜を最初に食べる“ベジタブルファースト”がもてはやされていますが、肉や魚を最初に食べても血糖値の急上昇は防げます。

 むしろ、食べられる量が減りがちな年代は、先に野菜を食べてしまうと、そこでお腹を満たしてしまい、肉や魚を必要量、食べられなくなるデメリットのほうが大きい。シニア世代は食事の最初に肉や魚を食べるのが最適なのです」

肉が若々しさの秘訣!積極的に食べるべき

 中でも、60代以降のタンパク質源として菊池さんが積極的に取り入れてほしいというのは肉。肉に含まれるビタミンB群は代謝を活発にし、若々しい身体の維持に結びつくと話す。

「若いころは“肉より魚を食べましょう”が合言葉ですが、年齢を重ねたら肉と魚は同じ比率でOK。肉の脂肪は、スタミナアップや肌ツヤの良さを保つのにも役立つので“若見え”にもつながります」

 また、肉を食べることは咀嚼力を鍛えることにも貢献。ドライマウスや歯周病など口の中の健康維持にも効果がある。

「歯周病になると、認知症や心筋梗塞のリスクが高まります。やわらかいものが食べやすくなり、“ステーキなどは食べるのがおっくう”という人もぜひ頑張って食べてみてほしいです」

“お昼に肉を食べる人”は元気に長生き!

 タンパク質の摂取量を増やすのが重要とはいえ、1回の食事で肉や魚をたくさん食べれば大丈夫というわけではない。

「1度に身体に吸収できるタンパク質の量には限りがあります。夕食だけたっぷり食べてもあまり意味がありません」

 納豆や豆腐、卵、肉、魚など、何でもよいので、1日3食タンパク質をとる習慣を!

麺類や丼ものなど炭水化物がメインになりそうなランチは要注意。肉や卵などタンパク質がしっかりとれ、栄養バランスが整ったメニューを
麺類や丼ものなど炭水化物がメインになりそうなランチは要注意。肉や卵などタンパク質がしっかりとれ、栄養バランスが整ったメニューを
【グラフ】年齢と筋肉量の関係がわかるグラフ「80代で50%↓」

肉・魚ファーストの食べ順

1:肉・魚・卵・大豆などのタンパク質
2:野菜などの食物繊維
3:ご飯などの糖類

 食べ順を意識してタンパク質たっぷり、バランスよく食べよう

※写真はイメージです
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