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ー 「蚊」にもさまざま ー 蚊の「都市伝説」真偽は

 “猛暑日が続いた夏は、秋に蚊が大発生”─そんなニュースを見た人も多いのでは!?

 そのエグい見た目も、刺されて痒いのも苦手な人がほとんどであろう、夏の忘れもの・蚊。蚊への恐怖心から取材班は“蚊の博士”白井良和先生を緊急取材! はたして今秋の蚊の動向はいかに。

「とりわけ猛暑で気温が高く、降水量が少なかった今年8月は幼虫が少なく成虫が少なかった。それに比べると9月は雨も降り、気温が下がって水たまりが多くなり、幼虫が育って成虫が増えた、というだけのことです。通常25度~30度で活性化する蚊。これは毎年のことですが猛暑の夏に少なかった分、秋の今が多く感じるということですね

「蚊」にもさまざま

 今夏に猛暑日が続いたからといって「特段、大発生はなさそう」と、答えてくれた白井先生。

「今年に限らず毎年、暑さに強くないアカイエカ、チカイエカが秋に多くなります。ヒトスジシマカは暑さに強いですが、水たまりが増えると成虫も増える。オオクロヤブカも秋に増加することがある。コガタアカイエカシナハマダラカは勢力が弱まる季節でしょう」(白井先生、以下同)

 普段はひとくくりにしている蚊にそんな種類があることに打ちのめされつつも、勢力が弱まる蚊もいるのが救いだ。同じくニュースで“蚊が媒介するコワイ病気”の情報も耳にするが……。

蚊の「都市伝説」真偽は

「蚊が媒介するのはマラリア、デング熱、日本脳炎、フィラリア症、チクングニア熱、ジカ熱、ウエストナイル熱ですね」

 とはいえ、秋の蚊の絶対数が増えているといえない現状では、そこまで恐れる必要はないのかもしれない。それでも“やっぱり刺されたくない勢”に、蚊取り線香以外の必殺技となるハイテク機器はあるのか?

「近紫外線ランプの蚊取り器は、刺激源に向かう虫だけが誘引されるもの。正しく言うならば“温度や二酸化炭素でおびき寄せ、ファンの吸引や粘着シート、高電圧で殺虫する”のが、蚊を捕獲できるタイプですね。粘着シートはあまり取れないので、ファン吸引がいちばんいいでしょう」

 ハイテク機器こそ間違った情報に流されず、正しい知識できちんと選ぶべき!

蚊に刺されるとかゆくなるのは、蚊が血を吸う際に分泌している「唾液」が皮膚内に入ることで起きるアレルギー反応だそう ※写真はイメージです
蚊に刺されるとかゆくなるのは、蚊が血を吸う際に分泌している「唾液」が皮膚内に入ることで起きるアレルギー反応だそう ※写真はイメージです

「ほかに日常でできることでいえば、蚊の針が届かないような“ダボッとした大きめの服を着る”、臭いを感知させないために“足や顔をマメに洗う”、蚊が入らないよう“扉の開け閉めは素早く行う”“蚊の好む黒や紺など暗色・濃色の服でなく、白や黄色などの明色・淡色の服を着る”、蚊は風に弱いので“うちわやハンディ扇風機で、自分に風を当てる”ことが大事です」

 日々の自衛手段も教えてもらった! 最後によく聞く都市伝説(?)だが……。

血液型ならO型、B型、AB型、A型の順で刺されやすい。お酒を飲む人も刺されやすいといわれますが、アルコールは体内で分解されて二酸化炭素が排出されるからです。ビールなどの炭酸飲料は、身体の周りの二酸化炭素濃度を高くし、蚊を呼び寄せます。また、太った人は肌の表面積が大きくて蚊の視覚的に見つけやすい。体温や水分、二酸化炭素が出ていることを蚊が認識している可能性があります」

 秋も油断できない蚊。これらの知識で正しい自衛を!

白井良和先生。蚊を研究し続けて30年。害虫防除技術研究所所長
白井良和先生。蚊を研究し続けて30年。害虫防除技術研究所所長
白井良和(しらい・よしかず)●害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役。医学博士。ゴキブリなどの害虫対策商品販売、蚊忌避剤や蚊捕獲器の効果確認試験ほかゴキブリ、ユスリカなどの害虫試験、書籍の出版、テレビ・ラジオ等のメディア協力、YouTube動画配信、Web記事の監修などを行っている