あまり腰を据えて話すことができない夫だったが、改めてその優しさに触れたきっかけがあった。過去に双子を出産したが、すぐに亡くしたときのことだ。

「2人を失ったときは本当に精神的に参ってしまって、毎日泣いて暮らして。けれど、赤井はずっと前向きでした。私には前を向けとか、俺を見習えとかそんなふうに一切言わないんですが、仕事から帰ってきたら私に寄り添って。ただ静かに一緒に居てくれました」

結婚前の赤井夫婦。一度だけ行った豊島園でのデート。強烈な出会いだったにもかかわらず、佳子さんは一目惚れ
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【貴重写真】赤井夫婦が結婚前に1度だけ行った豊島園デート写真

 夫も、親として悲しい思いをしているんだと、このとき気づいたという。

「ニコニコ笑って幸せそうな人も、陰ではつらいことがあるかもしれない。赤井だってそうですよね。テレビでは頑張って明るく努めてましたから、余計にそう感じました。ああ、いろいろ抱えて生きているんだよねと」

 佳子さんは常に前向きな夫の姿に感心しながらも、自分とは違う人間だとも思っていた。

「私は自分より赤井や家族を優先してしまうタイプ。人を大切にしなさいと教わってきましたから。でも、自分が我慢してるから、いつもたくさん不満があるんですね。

 でも、赤井は、自分を一番大切にするんです。最初はそれってわがままじゃん、と思ったのですが、結局、自分を大事にできる人は相手に不満がないんです。

 任せるところは全部信頼して任せて、失敗しても絶対に文句を言わない。実はすごく素晴らしい生き方だなって思うようになりました」

長男の進路のことで無鉄砲な赤井の行動

 違いを認めつつ、赤井さんを尊重している佳子さん。それでも、長男・英五郎さん(28)のことで大きなケンカをしたことがあった。アメリカに留学し、大学に進学予定だったが突然「高校をやめて、ボクシングをやりたい」と言い出したのだ。大学進学も決まっていたタイミングだったため、佳子さんは必死で止めようとした。しかし、英和さんは「学校は休学すればいい。いくらでも回り道したらいい」と大喜びで背中を押した。佳子さんに相談もなく、500万円かけて地下にトレーニングジムをつくり、息子がオリンピックを目指す、とマスコミの前で宣言したのだ。

「まだ始めてもいないのに、なに考えてるのよ!」と怒る佳子さんに、英和さんは謝ったという。

「私からしたらまったくありえない考え方ばかりで、そのときは本当に怒りました。ただ、結果的には赤井のアドバイスは息子にとってプラスに働くことばかり。窮屈な常識を押しつけずに、大きな心で子どもをサポートするのは、やっぱりいいんですよね」

 英五郎さんは現在、プロボクサーとして活躍している。私には当時の赤井のような行動はできなかったと、佳子さんは振り返る。