ドラマ史上最多とも思われる本数の作品が制作された'23年、圧倒的な話題と支持を得て見事1位に輝いたのは堺雅人主演の壮大なサスペンスドラマ『VIVANT』(TBS系)。

「ストーリーや世界観が壮大で、毎週映画を見ているような贅沢さだった。予測不能の物語を考察するのも楽しかった」(長野県・40歳)。「豪華かつバラエティーに富んだキャストがそれぞれキャラの立った役を演じていて、すごくよかった」(東京都・40歳)とコメントも絶賛の声であふれている。

「去年が『silent』の年なら今年は『VIVANT』の年。来年は最後にTのつく題名のドラマが増えるかも(笑)。

 考察系ドラマって謎を重ねがちなんですけど、この作品は2話で“VIVANT”の意味が判明し、4話で乃木の正体がわかり、5話で1話からの伏線がすべて回収され、そこから新たな謎が提示されるというふうに、ものすごく構成も工夫されていた。

 福澤克雄監督の構想を複数の脚本家に書かせるというハリウッドスタイルの脚本作りで、そこも新たな挑戦でしたよね。続編もめちゃくちゃ楽しみですし、スピンオフがいくらでもできそう」(カトリーヌさん)

 6位に『silent』の生方美久脚本の『いちばんすきな花』(フジテレビ系)が入っているが、がっかり1位の『真夏のシンデレラ』と対比するとドラマ界のトレンドがわかるとカトリーヌさん。

「トレンディードラマ時代の恋愛ドラマって、カースト上位の美男美女の恋愛を視聴者が憧れの目線で眺めるという構図でしたが、今は生きづらさに心が折れかけている普通の人々を主役に、現実的で切実な本音に寄り添うドラマが増えている。

 その代表ともいえるのが『いちばんすきな花』。トレンディーの夢よもう一度の『真夏のシンデレラ』が惨敗するのは致し方ないのかなと。

 '23年はジャニーズ、歌舞伎、宝塚というような絶対的だった古い価値観が揺らいだ年だと思うんです。一方でBLドラマが当たり前に作られるなど、多様性の波はいち早くドラマ界に訪れている。

 '24年のドラマ界のテーマは“アップデート”になるんじゃないかなと思っていて。昭和と令和の価値観のギャップを描く宮藤官九郎さん脚本の『不適切にもほどがある』(TBS系)はまさにそういうドラマ。来年も楽しみです!」

2023年がっかりドラマTOP10

1位 真夏のシンデレラ フジテレビ系 出演/森七菜 94票
2位 どうする家康 NHK総合ほか 出演/松本潤 81票
3位 パリピ孔明 フジテレビ系 出演/向井理 74票
4位 ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~ フジテレビ系 出演/二宮和也 66票
5位 風間公親―教場0― フジテレビ系 出演/木村拓哉 61票
6位 舞いあがれ! NHK総合ほか 出演/福原遥 55票
7位 大病院占拠 日本テレビ系 出演/櫻井翔 47票
8位 夕暮れに、手をつなぐ TBS系 出演/広瀬すず 42票
9位 今日からヒットマン テレビ朝日系 出演/相葉雅紀 37票
10位 コタツがない家 日本テレビ系 出演/小池栄子 34票

2023年よかったドラマ大賞TOP10

1位 VIVANT TBS系 出演/堺雅人 127票
2位 ブラッシュアップライフ 日本テレビ系 出演/安藤サクラ 86票
3位 きのう何食べた? season2 テレビ東京系 出演/西島秀俊 77票
4位 家政夫のミタゾノ テレビ朝日系 出演/松岡昌宏 73票
5位 らんまん NHK総合ほか 出演/神木隆之介 64票
6位 いちばんすきな花 フジテレビ系 出演/多部未華子 59票
7位 罠の戦争 フジテレビ系 出演/草なぎ剛 47票
8位 どうする家康 NHK総合ほか 出演/松本潤 42票
9位 ラストマン-全盲の捜査官- TBS系 出演/福山雅治 33票
10位 ハヤブサ消防団 テレビ朝日系 出演/中村倫也 32票

カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

(取材・文/蒔田陽平)