羽生サンとお母さんは“母子一体型の親子”

 今回の離婚を機に、羽生サンとお母さんの近すぎる距離、母子密着を問題視する記事を見かけましたが、密着を通り越して、母子一体型の親子なのではないかと思います。心理学では親子であっても「わたしとあなたは別の人」であるとし、一線を引くことが健全な関係を作ると考えていますが、母親はどうしても子どもと自分を同一視しがちです。しかし、成長とともに子どもは自分の世界を持ち始めて親から離れていきますし、いくら親が熱心に教育しても、成績が伸びずに名門校に合格できないなど、親は子どもに裏切られる経験を通して、自然と「自分と子どもの人生は違う」と気付いていくでしょう。

 しかし、羽生サンのようにすばらしい才能を持っている子どもの場合、「やればやるほど子どもは伸びる」わけですから、母と子どもはずっと同じ目標を追い続け、その栄誉を二人で分かち合うことになります。

 こうなると、「自分イコール母親」になってしまい、羽生サンにとっては、お母さんを否定されることは自分が否定されることのように感じるでしょうし、お母さんも羽生サンの仕事や生活に関することは「自分のこと」と捉え、妻に引き継ぐことはしないと思います。こういう親子関係の男性は、お母さんが息子のお世話ができなくなった時が結婚のタイミング、つまり晩婚向きではないでしょうか。羽生サンは結婚するには若すぎたのだと思います。また、結婚相手の女性は、夫と対等な“妻”ではなく、お姑さんの意向を汲む“嫁”の役割が求められると思っておいたほうがいいと思います。

 幸いなことに、元妻である女性は前を向いて、音楽活動を再開させているそうです。過ぎたことは忘れて、羽生サンもがんばっていただきたいと思います。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」