目次
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ー 両足首と左腕を相次いで骨折
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ー 一人だからこそ健康でいなければ
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ー 豚ヒレ肉の梅蒸し
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ー 麹マリネのポークジンジャー~山盛りキャベツと~ ー なんちゃって塩卵
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ー 大理石卵 ー しいたけと根菜の煮物

「粗食じゃダメなんです。肉や魚をしっかり食べないと」

 と料理研究家の松田美智子さん(68)。63歳を過ぎて立て続けに骨折し、それまでの食生活をがらりと変えたという。

両足首と左腕を相次いで骨折

 最初の骨折は趣味で始めたマラソンの練習中のこと。60歳を過ぎてからマラソンを始め、コーチの指導で500mダッシュを何本かこなした。

「なんか痛いなぁと思って練習が終わったあと整形外科に行ったら両足首が疲労骨折を起こしてたんです……」(松田さん、以下同)

 足首を固定しながら生活し、ようやく治りかけた2か月後、今度は左腕を複雑骨折してしまう。それも出張中の香港のホテルで。

「ようやく足首の固定も外れたので香港で少し観光もできて。軽くワインを飲んで夜、部屋に戻ってシャワーを浴びたんですけど、コンタクトを外していたのでよく見えなくて……シャワーヘッドをフックにかけるときに体勢を崩して勢いよく床に身体を叩(たた)きつけてしまったんです」

 左肩から腕にかけてひどい痛みを感じ、フロントに連絡を入れると近くの病院をすすめられたという。そのまま病院で夜を明かし、翌朝CT検査で左腕の複雑骨折がわかる。医師からは帰国してから手術するか、すぐに手術を受けるかの選択を迫られた。

「診てくださったドクターは実績もあり、信頼のおけそうな方だったんです。その日の夕方なら、たまたま時間が空けられるとおっしゃったので手術していただくことにしました。骨折の処置は早いほうがよいと過去の経験からも学んでいましたし」

 かくして緊急手術を受け、手術は成功。手術の翌々日には当初の予定どおり帰国。なかなかハードな経験だが松田さんはさらりと言う。

「まぁ起こってしまったことは仕方ないです。それよりも腕に入れた金属プレートが保安検査場でビービー鳴ったらどうしよう……と通過するまで気がかりでした(笑)」

 無事帰国できたものの、もうひとつ気がかりがあった。それは医療費のこと。当時、海外出張も多く、海外旅行保険に入っていなかったのだ。

「あとになってクレジットカードの保険で補償されることがわかったんですが、私の場合は腕に入れたプレートを抜く再手術をしないといけない……。それも補償してもらうには、半年以内に再手術をする必要があると聞いて、ちょっと焦りました」

 すぐに理学療法士とのリハビリを開始。骨の再生を促すよう食生活も大きく変えた。

「半年で骨を再生させなくちゃ再手術ができないと言われたから必死でした。リハビリセンターで若い人が次々に治っていくのを見ては『もう治ったの?』と驚くやら、うらやましいやら(笑)」

 懸命なリハビリと食生活の改善が実を結び、半年後には骨も再生。無事、再手術も成功したという。そんな松田さんの生活を支える食事の極意は「脱・粗食」だ。