存在を知る人はいなかった
中村容疑者は、横浜市内の中心部にあり、10階を超えるおよそ築30年の3LDK、4000万円ほどの分譲マンションに両親と住んでいた。ところが、同マンションの複数の住人に聞いても、彼の存在を知る人はいなかった。
首謀者・早川大貴アイデール容疑者は、彼のSNSによれば、米軍横田基地に近い東京都福生市の生まれ。数年前までは、横浜市中区の馬車道付近にあるガールズバーの従業員だったようだ。
「うーん、その店は確か2、3年前に閉店していますよ。この男の顔は覚えていないですね。男の従業員はめったに外に出てこないし、この辺には黒人男性の従業員は何人かいて、珍しくはないですから」(近所にある店舗の店主)

以後、アイデール容疑者は、同じエリアで複数の店舗に関わるようになる。
SNSには、スリムで引き締まった身体にフィットしたスーツをビシッとキメた写真をアップしており、
《座右の銘『不退転』、経営理念『想像を創造する』、実業家》と書き綴っていた。
とはいえ、それらの店舗が入っていたビルを訪ねても、
「この男も、店のことも、わからないね。ここじゃあ、オープンしては閉店の繰り返しで、入れ替わりが激しいから」と、同じビルに入った店の関係者や、近隣の店主は口を揃えた。アイデール容疑者の店も、すでに閉店してしまったようで、跡形もなかった。
仕事を失ったアイデール容疑者は、横浜市港南区に住む交際相手のアパートへ転がり込む。築35年、2階建て、3DKで家賃月6万5000円ほどの部屋。交際相手の小学校低学年の男児も同居していたようだ。
交際相手と子どもは、数年前から母親、兄、姉と5人で、アパートの2階に暮らしていたという。
「1年ぐらい前に、1階の空いていた部屋に女性と子どもが移ったよう。女性は20代のすごい美人でね。確か、お花屋さんで働いていたはず。その部屋には、たくさんの若い人たちが、ひっきりなしに出入りしていたのよ。そのうちの1人が事件の容疑者だと気づいたけど、一緒に住んでいたとは……」(近所の住人)
別の住人も、アイデール容疑者の顔はよく見かけたし、挨拶も交わしたという。
「会えば“こんにちは”と挨拶してくる、気さくな男でしたよ。私もてっきり“通っていた”と思っていたんだけどねぇ」