石破茂首相が自民党の衆議院議員1期生に配布していた「10万円商品券」をめぐって、野党、物価高やコメ高騰に苦しむ国民から厳しい目が向けられている。
火に油を注いだのが、3月16日に鳥取市内で開かれた県連会合での舞立昇治参院議員の発言。同議員は、商品券配布は「歴代の首相が慣例として普通にやっていた」とするも、報道各社によって伝えられると自身の発言を撤回。
翌17日に舞立議員の発言を問われた石破首相は、「歴代首相がそうであったかどうか全て存じない。お答えする立場にもない」と逃げ対応に終始するのだった。
そんな「自民党と商品券」で思い出されるのが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、自民党内で議論された経済対策だ。この時に意見が分かれたのが、国民への「商品券配布」と「現金給付」の二択。
「一律で、現金(給付)でやった場合は、それが貯金に回らず投資に回る保証は? 商品券とかいうものは貯金にはあまりいかないんだよね。(略)要はそのお金が動かない、回らないのが問題なんだから」
記者団に持論を振るってみせたのが、当時の麻生太郎副総理。財務相も兼任していた麻生氏は、現金給付を貯金に回す家庭もあることから、経済が回らない可能性を指摘。また二階俊博幹事長(当時)も「商品券だよ。使わせるようにしなきゃ」と、こちらも商品券配布を猛プッシュ。
麻生、二階に反していた岸田元首相
一方、“商品券派”の幹部2人に反して「現金給付」案を主張していたのが、自民党案を取りまとめる政調会長職に就いていた岸田文雄氏。「(商品券配布は)よくわかってない議員」とこぼした上で、あらためて記者団に、
「現金の給付は、必要な人に必要な額を支給する方が国民に理解されるのではないか。具体的な制度設計や金額は政府と調整したい」
配布に時間やコストがかかる商品券ではなく、「現金給付」こそ有力な経済対策として、商品券やクーポン券はコロナ収束後に配るべきだと訴えかけたのだ。