「仕事をすること自体が強いマインドに」
入院中も仕事を継続し、病室で原稿を書き、ZOOMでテレビに生出演もした。YouTubeでの動画配信も重ね、入院生活の模様と治療の経過を詳しく報告している。
「病気でダメだダメだと落ち込んでしまうのではなく、少しでも仕事をして社会とつながっておく。それが自分にとってプラスになると思って」
2月7日に退院。その後、通院治療を続け、抗がん剤は2月末、放射線治療は3月上旬に計30回の照射を終えた。
「これで肺がんの治療もひとまず終了です。ただこの先も1年間は化学療法と経過検査を続けていきます。今はがん細胞と闘う力を高める「イミフィンジ」という免疫チェックポイント阻害剤を使っていますが、これが直近になって肺がんへの有効性がいわれ出したということで、この先かなり効果を発揮するのではないかと期待しています」
体調に問題はなく、退院後は早々に社会復帰を果たした。がんを公表し、がんにまつわるオファーも増えた。今は2人に1人はがんになる時代で、世間の関心は高い。
「私の経験が役に立てばと思って、がんのリアルを発信しています。ただ私自身、がん家系でもないし、何が原因かはいまだにわからない。思いあたるとしたら、たばこを長い間吸っていたことくらい。それも原因かわからないけど……。
みなさんに何か伝えられるとしたら、人間ドックや検診にはぜひ行っていただきたいということ。私が言うのもヘンですけどね(笑)」
この先も発信を続け、働きながらがんと闘っていく。
「がんを経験して、健康で、仕事ができるってありがたいことだと本当に思いました。特に私は自営業なので、お金は治療費としても必要だし、家族を支えるためにも、生きていくためにも必要。
それ以上に仕事をすること自体が強いマインドになる。目指すのは根治。症状が治まるのが寛解だけど、そうではなく、完全な治癒を期待して治療を続けていきたいです」

三上洋さん●ITジャーナリスト。文教大学情報学部非常勤講師。ライブ配信・ネット動画のプロデュースも行う。主なジャンルはセキュリティー(ネット事件、詐欺などへの安全対策)、スマートフォン(料金、業界、有害サイト対策)、節約・お得系(クレジットカード、ポイント、電子マネー)など。
取材・文/小野寺悦子