日本人の介護士がいなくなる日も…

綾戸「そのとおり。私らには親から、いやもっと前の先祖から伝え重ねられてきた意識とでもいうか、みんなで自国を守るという何かが染みついていると思う。"シュビドゥビ"と言うてる私も、"YOYO!"と言うてるラッパーも、ご飯が出てきたら"いただきます、ごちそうさま"と言ってしまう。これは日本人のDNAとでもいうか、自然にこう言ってしまうのかなあ。私たち日本人同士は、これだけ経済的に格差があっても、"お互いさま"言うて、助け合える人種なんだと思う」

20150721 ayado (1)
堤未果:ジャーナリスト。ニューヨーク市立大学大学院で修士号取得。米国、日本を行き来して取材、執筆活動などを行っている

「介護だって人が集まらないと言うけど、日本には"介護の仕事をしてお年寄りの役に立ちたい"という若い子はたくさんいるんですよ。本当に心から、誠実にそう思ってる。でも、報酬が安すぎ仕事がきつくてまともに暮らしていかれない、結婚もできない、そして辞めてしまうんですね。介護や保育の現場って現場での経験を重ねていくことで、スキルが伸びていく。だから本来は安く使い捨てて回転させる、というやり方がいちばん合わないはずなんですが」

綾戸「まさにそのとおりで、母が行っているデイサービスでも若い人が次々代わってしまい来るたびに"初めまして"と。なんですぐ辞めてしまうのかと思いますよ」

「それ、困りますねえ。国はちゃんと心ある若い子たちを教育したり、まともに暮らせるように報酬をあげなくちゃいけないのに、代わりに今、日本人介護士が辞めた分を、安く働いてくれる外国人をどんどん入れて埋めようとしてる。介護の時給がますます安くなって現場は大変になるし、このやり方は疑問ですね」

綾戸「日本語も難しいし、"オバアチャーン、ナニタベル?"とか、頑張って生きてきたお年寄りに言葉や習慣の違う外国人を使う前に、もっと日本の若い人を介護に従事させてもらいたいなあ」

 外国人介護士の雇用に限らず、介護事業も海外企業によるビジネス化が進んでいる。一方で日本の介護施設には、質の高いサービスを求めて外国人富裕層の入所者が増加。日本の高齢者、要介護者は行き場を失っている。それもやはり、個々の"儲け重視"が生み出した結果か。

 いま1度、日本の助け合い精神で医療や介護を見直すときが来ているのかもしれない。

綾戸「堤さんは大臣ではないのだから、医療制度を変えていく人ではない。あなたの役割は、専門ジャンルで筆を持って伝える仕事や。"知らんかったわ"と言って賛同する人を増やす。それこそインターネットで"いいね"と1万人、100万人と全員が見るようになったらええな。でも、お年寄りにはFAXやで!」

「FAXですね(笑い)!」

 では堤氏が参謀役になって、綾戸が政治家として立候補なんてことも?

綾戸「ありがとうございます。ちゃうちゃう。わが子と母のほうが大事やから、そんなこと言わんとってください。政治家になる人は家族だけじゃなく、国民全部見なあきませんのやで! 私は好きなこと言うてるだけです。でもまあ、堤さんと2人、政治家やないけども、強いて言うなら『お互いさま党』でも組もうか!」