「あのとき、メンバーの一人が解散を口したことで、解散に向かって動き出した。嵐の場合は、その役はリーダーの大野智かと。SPEEDは話し合いを続けるうちに、4人それぞれに違った方向性が見えてきた。当時の所属プロダクションの社長は、活動休止にして様子を見るというやり方よりも、本人たちにその気がないのに活動休止にすることはファンへの裏切りになる、と考え、売れているピークにもかかわらず、潔く『解散』を選択したわけです」

ラストライブで「解散」を明言か

 活動期間は約4年。2000年に解散し、さっぱりとSPEEDという母体から旅立ったメンバーは、9年後に再結成することに。ファンは温かく迎えた。

 本人たちが「解散」を口にしないことを決めた嵐。芸能史に数々の金字塔を打ち当て、テレビもツアーでも最高峰のものを出し切った。

「すでにグループとしては燃え尽きていると思う、やり切った感で。大野智は燃え尽き症候群そのものですよね。にもかかわらず、最後の最後に解散ライブをやる。そのことから分かることは、メンバー間には、どこかで区切りを付けないと、ファンにもスタッフにも申し訳ないという思いが強かったということ。いい人たちですよ。

 ビッグマネーがうごめくショービジネスの世界で、シンプルにファンのことを考えらえるピュアさを持ち続けた、稀なアイドルグループ。ラストライブではぜひ5人で『解散する』と言い、自分たち自身を嵐から解放してほしいですね」(先出・スポーツ紙記者)

 日本のショービジネスを、自分たちのやり方でけん引した嵐。

 官房長官は毎日新聞記者の質問を受け「国民的なアイドルグループ」という最大級の認識を示し「政府のさまざまな活動においてご橋梁いただき、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います」と伝えた。政府が所感を述べること自体、アイドルグループにとっては勲章だ。

 フランスの詩人は「選ばれてあることの恍惚と不安ふたつ我にあり」とつづった。嵐のメンバーであることの恍惚と不安。長年、最高のものを作り出さないというプレッシャーに打ち勝ってきた。

 プレッシャーからの解放の日を見守りたい。