悠仁さまのトンボ研究
興味深いことに、園遊会の主要な舞台となった大池や中の池、あるいは、菖蒲池付近は、現在、筑波大学生命環境学群生物学類1年生である、悠仁さまのトンボ研究のフィールドでもあるのだ。都心にあって、約51万平方メートルにも及ぶ大規模な緑地、赤坂御用地で、生息するトンボ類のモニタリング調査を行い、その成果を悠仁さまは、他の研究者たちと一緒に、『赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理―』という論文にまとめている。
この論文の中で大池は、《赤坂御用地内で最大の水域になっている。面積約8122平方メートル、水深は深いところでは約1・6メートルで(中略)池の周囲の大部分は樹木で囲われているが、北西部は開けており芝生の広場に面し》などと紹介してある。中の池は、《赤坂御用地のほぼ中心にあり、面積約6817平方メートル、最大水深約1・1メートルである(中略)池には小島があり、石橋が1つ架かっている》などと書いてある。
2012年から'22年までのこの調査で、オツネントンボ(絶滅危惧IA類)、アオイトトンボ(絶滅危惧2類)、オニヤンマ、リスアカネ(準絶滅危惧種)など8科38種が確認された。オツネントンボは、菖蒲池のカキツバタ群落やショウブ群落で確認している。アオイトトンボは、菖蒲池のショウブ群落や中の池などで発見した。また、リスアカネは、菖蒲池や大池などで確認したと、論文に記載されている。あわせて、悠仁さまが撮影したのだろうか、美しいトンボのカラー写真なども収められている。
園遊会の出席者たちのいない、閑散とした赤坂御苑を思い浮かべてほしい。その中を、トンボを採集するための網やカメラを手にした悠仁さまが黙々と歩き回り、調査を進めていたのだ。
「公的な活動についてですが、大学在学中は学業を優先させていただきながらにはなりますが、少しずつ携わっていくことになると思います。周りの方々からご助言を頂きながら、一つひとつに丁寧に取り組み、成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたいと思っております」
記者会見で今後の公的な活動への取り組みなどについて、こう話していた悠仁さまの園遊会デビューはいつになるのか。早ければ、今年の秋に実現するのだろうか。そのとき、佳子さまはどのように弟にアドバイスするのだろう。佳子さま、愛子さま、そして悠仁さま、若い世代3人の活躍を、多くの国民は楽しみにしている。
<文/江森敬治>