目次
Page 1
ー 小児期に難病を発症。指先しか動かせない
Page 2
ー バツイチ同士で再婚
Page 3
ー 障害者に理解のある世の中にしたい

 

「夫は先天性の難病による重度の身体障害者です。筋力が徐々に衰えていく、脊髄性筋萎縮症(SMA)という難病を生まれながら抱えています。今では、右手の人さし指と親指が数センチ、左手の人さし指がちょっと曲がるくらいで、ほかの筋肉はほとんど動きません。食事や排泄など24時間、ヘルパーさんに介助してもらいながら、車いすで生活しています」

 と話すのは、愛知県在住で訪問看護師として働くゆかさん(34)。夫である松元拓也さん(36)と2年前に結婚し、インスタでは「重度障がい者の嫁」というアカウント名で、夫婦のありのままの日常を発信している。

小児期に難病を発症。指先しか動かせない

 脊髄性筋萎縮症は、年齢を問わず発症するが、乳児から小児期では約10万人に1~2人の割合で罹患する。日本における患者数の推計は1400人ほどといわれており、症状の重症度や発症時期によって5つのタイプに分類される。

「重度障がい者の嫁」というアカウント名で発信。動画は夫の拓也さんが編集している
「重度障がい者の嫁」というアカウント名で発信。動画は夫の拓也さんが編集している

「赤ちゃんのうちから高度な医療ケアを必要とする場合は、最も重篤な0型や1型タイプに分類されます。夫は、1歳ごろ異変が出始め2型と診断されました。

 新生児が受ける先天性疾患を探す検査で、今では早期発見ができるようになり、2017年に特効薬ともいえる新薬が日本で認可されたことで、幼少期に見つかれば普通に歩いたり、座ったりできるようになることも。夫の場合、半年に一度病気の進行を抑えるため、新薬を投与しています」(ゆかさん、以下同)

 小児期に診断を受けたとき“20歳まで生きられない”と言われ、今では全身の筋肉が萎縮してしまった拓也さんだが、医療の進歩により進行を食い止め生活しているのだ。

 そんな2人は訪問看護の利用者と看護師として出会った。

「夫は食べ物を飲み込んだり痰を吐き出したりするのに必要な筋力も弱まっていて、肺炎などの合併症を防ぐためにも痰を吸引するといった医療的行為が必要。定期的に自宅での訪問看護を利用していて、そこで出会ったんです」