障害者に理解のある世の中にしたい

 現在、拓也さんの会社では訪問介護と訪問看護事業も運営。IT事業の知見を生かしながら、福祉を必要とする利用者と介助者をマッチングさせる「ふくはぴ愛知」というサイトをスタートさせた。

「私は夫の会社の訪問看護師事業の管理者をしていて、現場に出向く看護師としても働いています」

 最初はその訪問看護事業のPRをするためにインスタを始めたが、次第にコメント欄で「なぜ身体が痩せているの?」「ごはんはどうしてるの?」といった日常への関心が高まったことを受け、今年1月に夫婦アカウントを開設した。投稿には、応援だけでなく心ない声も届く。

「〈世話をさせるために結婚したんだろ〉〈私が親なら絶対反対する〉〈嫁がかわいそう〉〈多額の保険金をかけてるんだろ〉といったコメントがくることもあります」

 ゆかさんはそれすらも受け止めて、すべてのコメントに丁寧に返信している。

「重度障害者の生活を知らないからこそ書き込まれたコメントだと思うんです。例えば、夫の介助は基本ヘルパーさんがしてくれるので、コメントにあるようなお世話を押しつけられたことはありません。両親も結婚に賛成してくれて、夫と一緒に出かけることもしょっちゅう。

 苦労してるでしょ?と聞かれることもあるけど、後悔なんて一度もありません。これからも、障害のある人がどんな暮らしをしているのか知ってもらうためのきっかけとして、発信を続けていきたい。私は365日優しい夫が大好き。これからも、公私共に支え合うパートナーでいたいです」

ゆかさん 訪問看護師。訪問看護ステーション「ぶらうんらっと」の管理者。難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)の松元拓也さんと2023年に結婚し、今年の1月からインスタグラム(@yuka.taku2023)で夫婦の日常を投稿している。