メリットは「中国7割、日本3割」
それから50年以上がたち、来年にはパンダがいなくなる日本。今後の外交にパンダは必要だろうか?
「正直、必要ないと思います。大金を払っているわりには、Win-Winの関係とはいえず、パンダ外交の“メリット”は中国が7割に対し日本は3割くらいのイメージではないでしょうか。時代も移り変わった今、いつまでも外交をパンダに頼るのはもうやめようよ、と。当たり前の話ですが人間と人間が努力し、関係を築くべき。
これまで両国をつなぐ橋渡しとして、また日中関係の良しあしを測るバロメーターとしても立派に務めを果たしてきたパンダには、心から“ご苦労さま”と声をかけたいですね」
忘れられないパンダのエピソードがあるという周さん。それは、
「2008年5月に起こった四川大地震。M8・0を記録し、人の暮らしも自然環境も破壊され、世界遺産に登録される野生のジャイアントパンダ保護区群も大きなダメージを受けました。
私が現地で聞いたのは、パンダも心身の不調を引き起こしているという事実でした。そんな繊細な動物であるパンダが政治の道具に使われ、長い輸送時間をかけて異国の地で暮らし、やっと慣れてきたころにまた中国に戻されるという大きなストレスに晒される。改めてパンダを政治の道具として使うのは、賛同しかねます」
日本はパンダ誘致を続けるのか、白黒をつけるべきではないだろうか。
取材・文/住田幸子