最近の交流エピソード

─長年の交流の中で、トムさんとの関係性は“家族のよう”ともいわれています。最近の印象的なエピソードがあれば教えてください。

「もう30年のお付き合いになりますからね。彼の来日は25回目、私がすべて同行しているのかな。それだけ一緒にいれば、普通の友達と同じように親しくなりますよ。スターかどうかなんて関係ないです、彼だってひとりの人間ですから。

 前回の来日のことなんですが、夜遅くまで一緒に日本で仕事をして、トムは日本を発ち、私は家に帰ったんですけど、夜の11時ごろだったかな。電話が鳴って、出たらトムなんですよ。“今どこにいるの?”って聞くから、“家にいるよ”って答えたら、“I'm in the air(飛行機の中)”って(笑)。

 離陸した直後に、ちゃんと私が家に着いたか確かめたかったようです。飛行機の中から電話が来たのは、人生で初めてでした」

─トムさんからの敬意を感じる場面はどんなときでしょうか?

「最初から最後まで、常に感じています。いつも気遣ってくださるし、彼は“目に見える優しさ”を示してくれます。例えば、私が立とうとすればイスを引いてくれる。座るときも、“滑らないように気をつけてくださいね”と心配してくれます。どこからああいう優しさが出てくるのか……。きっとご家庭の教育もあると思いますが、あの礼儀正しさには感心します。それが本当にうれしいし、ありがたいことです」

─おふたりは誕生日も同じ(7月3日)ですよね。

「そうです。毎年、お花が届くんですよ。ある年は私がたまたまニューヨークに行っていて、“今年は不在ですよ”と連絡したら、わざわざニューヨークのホテルにそのままお花を送ってくださって。ホテルのスタッフも感激して、“トム・クルーズさんからです!”って(笑)」

─ほかにも印象に残るエピソードはありますか?

「どれもドラマチックっていうよりは、日常の些細な優しさだったりするんですけど、本当に素敵な方です」

─戸田さんも素敵で、いつまでもお変わりなく若々しい印象ですが、その秘訣は?

「特に何もしてないですよ。髪も伸びたら切りに行くくらいで、美容とか関係なく、精神的に健康でいるためにくよくよしないこと。わがままに、自分が嫌だと思うことはしないのが私のポリシーです。

 私は子どものころからわがままだったけど、だからこそ“嫌なことはしない”っていうのが自然にできるようになったのかもしれません。化粧品だってどこでも売ってるものを使ってますしね(笑)。好きなことをして過ごすのがいちばんの美容法です」

─好きなことは何でしょう?

「昔は自分で車を運転して、母や友人たちと一緒にあちこち巡っていました。ヨーロッパは楽しかったですね。ナビもない時代だったから、紙の地図を片手に、知らない道を運転するのが楽しかったです。母とは本当に仲が良くて、彼女を喜ばせたくて連れていってました。ほかには親不孝ばっかりだったけど、それだけはちゃんとできたかなって感じています。

 あとは、最近、大谷翔平くんですね。チームが勝たないとなんだかモヤモヤします。私は野球のルールはそんなに詳しくないんですけど、あのひたむきに打ち込む姿勢が素晴らしいと思います。たまたまチケットをいただいて、東京ドームでの試合に行ったんですが、生で観戦するのは初めてですごく新鮮でした。でもやっぱりテレビのほうが細かく見えるので、家で見るのがちょうどいいかな(笑)」

─“推し活”ですね(笑)!

「“おしかつ”って何?  押しかけてるわけじゃないですよ(笑)。迷惑はかけてないし、ただ見守ってるだけです」

─(笑)。最後に、今回の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の見どころを教えてください。

「やっぱりトムのアクションですね。最近でも『トップガン マーヴェリック』で飛行機アクションをやってますけど、今回は水の中。潜水シーンは大迫力です。しかもセリフなしで10分間、字幕翻訳者としては出番がなく(笑)。とにかく、彼は本気で命がけでやっています。その姿が見どころですし、次回作も楽しみです。どんな展開になるのか、私も今からワクワクしてます」

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』配給:東和ピクチャーズ(C)2025PARAMOUNTPICTURES.

シリーズ第7作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』の完結編となる本作。IMFエージェントのイーサン・ハント(トム・クルーズ)が、暴走するAI「エンティティ」に立ち向かい、仲間たちと共に人類の未来をかけた最後のミッションに挑む。大ヒット上映中。

<取材・文/いくしままき>