『ミッション:インポッシブル』シリーズ5作目にして、ついに“空を飛んだ”トム・クルーズ。史上最も危険な超絶アクションに臨んだ、トップスターとしての矜持とは? その心意気を知り尽くす盟友、クリストファー・マッカリー監督の証言と合わせてお届けする。

 

「こんなスタントは誰もやりたがらないだろうし、スタッフは全員、緊張していた。でも、僕はワクワクしたよ!」

 今作いちばんの見どころともいえるアクションシーンの撮影を、トムは誇らしげに振り返った。

「ただ実際にやってみたら、機体の側面にスーツ姿でいるのはものすごく寒かったよ(笑い)。気候が変わりやすいイギリスでの撮影だったし、1000フィート(約300メートル)ごとに気温が急激に下がるんだから……」

 今作の監督は、『アウトロー』(’13年)でもトムとタッグを組んだクリストファー・マッカリー。彼に求められたのは、前作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で超高層ビル、ブルジュ・ハリファの外壁をトムがよじ登るシーンを凌駕(りょうが)する演出だった。

「たしかに前作を超えるレベルの高いものを誰もが期待しているはずだし、スタントを取り入れたアクションが必要なのはわかっていた。それをふまえてロケハンを続けた結果、残念ながらブルジュ・ハリファを超える高層ビルは存在しないことがわかり、ビルでのアクションはあきらめることにしたんだ。

 そこで、ふと思いついたのが飛行機。軍用輸送機エアバスA400Mの上に乗ってみるというのはどうだろう? と提案したらトムはこう言ったんだ。“そうだね、それならできるよ”と。半分、冗談のつもりだったんだけど(笑い)」(マッカリー監督)

 ファンや観客の期待に応える、いや、それを上回るものを創りたい思いはトム自身も同じだ。

飛行機の座席から窓の外を見て、“あの翼の上に立ったらどんな感じなんだろう?”とよく考えていたんだ。それに僕は普段からクラシックの戦闘機やアクロバット用の飛行機を操縦しているから、このスタントはものすごくアドレナリンも上がったね(笑い)