
「梅雨の季節を迎えるにあたって、体調不良を訴える女性が増えてきます。雨や台風の日に身体がつらくなるのは、低気圧による不調です」
そう話すのは、自律神経研究の第一人者である医師の小林弘幸先生だ。
自律神経が乱れ痛みを伴う「天気痛」も
気圧や気温、湿度など天候の変化によって起こる心身のさまざまな不調は「気象病」と呼ばれている。頭痛、関節痛などの痛みを伴う症状は「天気痛」と言い、最近は広く知られるようになってきた。
これは平衡感覚などを司(つかさど)る内耳という器官が気圧の変化に過剰反応し、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされる。
「普段われわれの身体は圧力に耐えようと、受けている気圧と同じ力で押し返していますが、低気圧になると身体にかかる圧が弱まり、バランスが一気に崩れてしまう。その影響を一番受けるのが自律神経なんです。
なかでも交感神経の働きが鈍るので、血管が拡張し血圧が下がり、さまざまな症状が現れます。寒暖差や高湿度による不快感でも調子が崩れるので、梅雨の時季は特に注意が必要ですね」(小林先生、以下同)
5月の連休明けあたりからが要注意
低気圧は生きる上で重要な呼吸にも関わっている。
「低気圧のある場所では上昇気流が発生するので、地上付近の空気中の酸素濃度が薄くなり、若干息苦しくなることもあるんです。
さらに自律神経が乱れると血流が悪くなるので、胸郭の開きも悪くなり、空気を吸い込む力も衰えます。この自律神経が乱れやすいのは、梅雨だけでなく季節の変わり目です。
冬から春になると気温差だけでなく、異動や転勤などで生活パターンや環境の変化がありますよね。その影響が一番出るのが5月の連休明け。ここで体調不良を訴える方が多くなるので、そのまま放置して梅雨を迎えるとさらにつらくなるでしょう」
小林先生がまとめた「低気圧不調チェックリスト」に1つでも当てはまれば、気象病の可能性があるそうだ。
「診察を行っていて一番多いのが頭痛。それからめまい、耳鳴り、憂鬱(ゆううつ)感、倦怠(けんたい)感、イライラ、関節痛、むくみ、便秘、腰痛、首こりや肩こり、アレルギー症状などが典型的です。
そういわれてみると、1つは何かしら心当たりがあると思います。いつもの症状とやり過ごさず、対処することが大切」
