民放にはない視点
この1年間のNHKドラマで特によかった作品は?
「『燕は戻ってこない』という桐野夏生さんの同名小説が原作で、代理母出産がテーマのドラマです。元バレエダンサー・基(稲垣吾郎)の妻・悠子(内田有紀)は不妊ですが、基は子どもがどうしても欲しい。派遣社員のリキ(石橋静河)は貧困から抜け出すため、高額な報酬に惹かれて夫婦の代理母を引き受ける─という、社会問題や欲望に振り回される人々が描かれました」
他にも、『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』は外国人による犯罪がテーマで、『宙わたる教室』は定時制高校の科学部が舞台。民放にはあまりない、NHKならではの視点だという。
「これまで挙げたドラマはどれも原作がありますが、よくこの作品を見つけてくるなと思うほど。原作選びの力がNHKは優れていると思います」
6月17日、地上波初放送開始で池田エライザが主演する『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』、6月21日からは、綾瀬はるか主演の『ひとりでしにたい』が始まる。
「『舟を編む』は辞書作りがテーマで、映画化もされましたが、ドラマでは時代設定が変わって、コロナ禍での辞書作りになります。パンデミックやクラスターなど新しい単語が多く生まれ、これを辞書に入れるべきなのか、言葉と向き合うというあまり他では見られないドラマになっています。
『ひとりでしにたい』は、30代後半独身女性の終活がテーマ。面白い設定で、学べる点が多いドラマになるのではないかと期待しています」
“ドラマのNHK”と言われる日も近い!?