目次
Page 1
ー “終活”をコミカルに描いた作品
Page 2
ー 映し出された“衝撃のアイテム”
Page 3
ー 女性主人公の“変化”

 6月21日に放送がスタートしたNHKのドラマ『ひとりでしにたい』が、何かと話題になっている。

 綾瀬はるかが久々にコメディドラマに出演するということもあって注目されていたのだが、綾瀬が推しのアイドルの配信動画に合わせてダンスをしたり、肌色の全身タイツに葉っぱをつけた“葉っぱ隊”のような姿を披露するなど、これまでのドラマでは見ることがなかった、その体当たりというべき弾けた演技に驚いたファンは多いだろう。

“終活”をコミカルに描いた作品

 しかし、話題の理由はそれだけではない。原作を知らない視聴者は、タイトルからして“社会派のドラマ”と思っていただろうから、コメディと知って面食らったかもしれない。そして、原作に忠実な描写があり、ドラマ自体が「攻めてる」と注目を集めているのだ。

 ドラマの原作は、『モーニング・ツー』(講談社)に連載されたカレー沢薫氏作の漫画『ひとりでしにたい』。主人公が小さいころから憧れていた叔母が、ゴミ屋敷と化した自宅の浴室で亡くなっているのが発見される。身近な存在が無残な姿となって孤独死したことをきっかけに、主人公は自分の“死”を考えるように。

 その時期が迫ったとき、あるいは予期せぬ死が訪れたときのために、何をしておかねばならないか。病気や住宅ローン、投資など、1人で生きていかねばならない状況になった場合、どうしておくべきか。アラフォー女性の“終活”をコミカルに描いた作品として、連載が始まった当時から話題になっており、2021年3月には、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。

 この作品は早くからドラマ化が期待されていたが、その一方、ドラマで果たしてどこまで原作に忠実に描ききれるのか、懸念もされていた。しかし、それは杞憂だった。第1回の放送で、その懸念されていたシーンがいきなり描かれたのだった。