今後、“第二の国分”が出てもおかしくない

 元ジュニアの木山将吾氏による書籍『SMAPへ そしてすべてのジャニーズタレントへ』(鹿砦社)には、東山紀之さんはジュニアのパンツを下ろすのが好きで、背後からずりさげ、局部をもろだしになってよろけた少年の手を無理やり引いて、ジャニー氏のもとに連れて行ったというエピソードが掲載されています。東山さんがいつもそういうことをしていたわけではないでしょうが、性暴力というのは自分より下の者がターゲットになるという原則があります。

長年にわたって性加害行為を行ってきたジャニー喜多川氏。自宅マンションの水槽に映る姿は不気味(元ジャニーズJr.の被害者男性提供)
長年にわたって性加害行為を行ってきたジャニー喜多川氏。自宅マンションの水槽に映る姿は不気味(元ジャニーズJr.の被害者男性提供)
【写真】国分太一と結婚した元TBS局員の“aiko似の妻”

 ジャニー氏が子どもを毒牙にかけ、その下にいる元マネージャーもストレスを理由に子どもに性加害をし、子どもの中の年長者が性加害とまではいかなくても、新入りを性的にもてあそぶというふうに、事務所内に性暴力が蔓延していたと考えることができるのではないでしょうか。

 もしそうなら、山口さん、中居さん、国分さん個人の倫理観の問題というより、環境に問題があったと考えるほうが自然なことではないかと思うのです。

 上述した『週刊文春』には、国分さんがスタッフの男性を全裸にして泳がせたという証言が掲載されていますが、イヤと言えない立場の人に冗談を装って性的ないやがらせをするという意味で、東山さんの行動と似かよっていると言えると思います。

 考えてみると、10代の頃から性暴力と悪ノリの境目が曖昧な中に身を置き、若くしてスターとなって権力あるオトナにちやほやされ、ジャニーズ事務所が強権を奮っていた時代だったこともあって、マイナス報道がなされることもないわけですから、そりゃ自分たちのやっていることががいけないと言われても、ピンとこないだろうなと思うのです。

 変わら(れ)ないタレントがいる一方で、時代はどんどん変化しています。テレビを見る人が減り、その代わり、SNSが力を持つようになってきました。テレビが芸能事務所などに忖度して、不都合なことを報じなければ、SNSの格好の獲物となり炎上するため、テレビもSNSを恐れているようなきらいがあります。強者の横暴を最も嫌うSNSにとって、ハラスメント系のネタは大好物ですから、週刊誌は追いかけるでしょうし、テレビ局はハラスメントを働くタレントとはさっさと距離を取ることが予想されます。

 今回の国分さんの件の詳細が明かされないことで“ピンと来ていない芸能人”は変わるチャンスを得られないわけですし、これまで無自覚にセクハラをしていた人もいるかもしれませんので、今後、旧ジャニーズ事務所から第二、第三の国分さんが出ても不思議はないわけです。

 ジャニーズ事務所が解体され、被害者への補償がなされると決まったことで、ジャニーズ問題は片付いた感がありますが、本当にそうなのでしょうか。ジャニー氏は少年たちの才能を見出し、たくさんのスターを世に送り出しましたが、同時に少年たちに“危うい性”も植え付けてしまった。そんな気がしてならないのです。この問題はかなり根が深いような気がします。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」