現在、「女優」と「介護」という、2つの職業を両立させている北原佐和子さん。どちらも楽な仕事ではないが、北原さんのように、女優ながらに別の仕事に挑む人たちが増えている。農業、大学教授、写真家……“どっちも本業”の二刀流の才能がまぶしい!
“人を笑顔にできる仕事”という意味で似ている
女優と介護、一見まったく異なるジャンルで活躍する北原佐和子さん。渡された名刺にはケアマネジャー、介護福祉士、女優の肩書が並ぶ。
40歳を過ぎて介護の世界に足を踏み入れた北原さん。伝説の昼ドラ『牡丹と薔薇』で浮世離れした人妻を演じた後、本格的に介護の仕事へ。
ホームヘルパー2級を取ったのを皮切りに、50歳で介護福祉士、53歳でケアマネの資格を取得。56歳のときには准看護師の資格も取った。
今は在宅介護支援事業所での勤務が週3回、介護イベントが月2回。女優としては12月の舞台『女たちの忠臣蔵』の上演を控え、稽古の日々が始まろうとしている。
「女優の仕事と介護の仕事は“人を笑顔にできる仕事”という意味で似ているんです」
と、北原さん。どちらの仕事にも情熱的に取り組む姿勢が素敵だ。ところが、その“女優業と介護業の二刀流”に疑問の目を向けられることもあるという。
「中途半端に見られることも多いんです。介護の現場で“女優がここに何しに来たの?”という態度をとられたことも。実際、始めたころには実の妹にさえ“お姉ちゃんに何ができるの”って言われました」(北原さん、以下同)

北原さんの妹は看護師だ。
「当時、私は41歳で、妹は40歳。すでに看護師として何十年ものキャリアがあった妹の言葉が本当にショックで何も言い返せなかったけど、後からがぜん、パワーが出てきた。その後、看護学校に行ったときにも、やはり“何がしたいの”と言われたんですが“何がしたいのか自分でもわからないときがあるのに、あなたにわかるわけないでしょ”って気持ちになって、逆に開き直りましたね(笑)」