積極的にとりたいタンパク質とビタミンC

 さらに、視力改善の重要な要素が食事。

「実は水晶体には多くのビタミンCが含まれています。しかし加齢によって量が半分以下になってしまうんです」(松岡先生)

 ピーマンやブロッコリー、柑橘(かんきつ)類など、ビタミンCが豊富な食材を使った食事で定期的に補いたい。また、60歳を過ぎたら積極的にとりたいのが、筋肉や血管を構成する材料となるタンパク質。

 血管が張り巡らされ、加齢の影響を受けやすい網膜の働きを維持するためには必要不可欠だ。目安は摂取カロリーの20%。平賀さんおすすめの食事法は?

「過剰な糖質は避けたほうがベスト。白米よりも玄米やキヌアなどの全粒穀物を選び、魚、鶏肉、豆類、ナッツ、卵などでタンパク質とミネラルを補給。アボカド、オリーブオイルなど良質な油をとるのもいいでしょう。網膜を光から保護する働きのルテイン、抗酸化作用のある食物繊維も目に良い成分です。

 気をつけたいのは、アルコールやカフェイン、塩分のとりすぎ。塩分が多く保存料が使われた加工肉や揚げ物、マーガリンなどの工業用トランス脂肪酸を含む食品にも要注意です

 平賀さんのアドバイスのもと1か月の食事や生活改善を行った52歳男性は「毎日パソコン作業が多かったのですが、裸眼視力が0.4から0.7に。タンパク質摂取のために積極的に鶏肉や豚肉を食べました」と報告。

 老眼で困っていた58歳女性はスクワットを始めて1か月、

「これまでは新聞を読むのに両手をいっぱい伸ばし70cmくらいの距離で見ていたのですが、40cmの間近で見られるようになりました

 という喜びの声が。

 日常のほんの少しの工夫で視力の改善が期待できるのがわかる。あきらめる前に、まずは始めてみたい。

網膜を徹底的に守るフルーツ
 ブドウを定期的に食べると、目の健康に重要な色素の密度が増加することが判明。さらに、白内障を予防し水晶体の損傷を軽減させる効果や、酸化ストレスによる損傷から網膜を守り、網膜の健康を維持する効果も。ワインやジャムなどでも気軽にとれるので毎日の食卓に取り入れたい。

視力改善におすすめの野菜
 黄斑の細胞を保護する「ルテイン」が入っているほうれん草だが、他にもこんな栄養素がたっぷり!
・光の刺激から目を保護する「ゼアキサンチン」
・暗闇での視力低下を防ぐ「ビタミンA」
・網膜の毛細血管の壁を強くする「ルチン」

教えてくれたのは……

松岡俊行先生●医学博士。眼科専門医。京都大学医学部医学科卒後、同大学院の医学研究科准教授に。2019年、大阪府の吹田に「江坂まつおか眼科」を開業。現在は書籍の監修やYouTubeなどさまざまなメディアで活躍中。
松岡俊行先生●医学博士。眼科専門医。京都大学医学部医学科卒後、同大学院の医学研究科准教授に。2019年、大阪府の吹田に「江坂まつおか眼科」を開業。現在は書籍の監修やYouTubeなどさまざまなメディアで活躍中。
【写真】網膜を守るフルーツと視力改善におすすめの野菜

松岡俊行先生●医学博士。眼科専門医。京都大学医学部医学科卒後、同大学院の医学研究科准教授に。2019年、大阪府の吹田に「江坂まつおか眼科」を開業。現在は書籍の監修やYouTubeなどさまざまなメディアで活躍中。

平賀広貴さん●東北大学大学院にて博士号取得後、株式会社東芝で研究者として勤務し2023年に独立。特許76件、論文15件、新聞などのメディアでも自身の研究内容が多数掲載。幼いころから現在まで裸眼視力2.0をキープしている研究者。
平賀広貴さん●東北大学大学院にて博士号取得後、株式会社東芝で研究者として勤務し2023年に独立。特許76件、論文15件、新聞などのメディアでも自身の研究内容が多数掲載。幼いころから現在まで裸眼視力2.0をキープしている研究者。

平賀広貴さん●東北大学大学院にて博士号取得後、株式会社東芝で研究者として勤務し2023年に独立。特許76件、論文15件、新聞などのメディアでも自身の研究内容が多数掲載。幼いころから現在まで裸眼視力2.0をキープしている研究者。

平賀さんの著書『何歳からでも目がよくなる方法』(アスコム)※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

取材・文/小林賢恵