店の評判はいい。良心的な価格設定のため客層は幅広く、アットホームな雰囲気で楽しく飲めたという。
機嫌を直すとセクハラが始まる
山下容疑者は扱いに困る常連客だった。市内で働く別の常連客の40代男性が振り返る。
「仲よくなった伊藤さんとプライベートで食事をしたとき“イタい客がいて……”と、こぼしたんです。一方的に好意を抱かれ、ほかの客の相手をすると露骨に不機嫌な態度になるという。誰かは明かさず“大丈夫?”と尋ねると“うん、大丈夫。お客さんだし適当にいなしてるから”と答えていました。後で思えば、それが山下容疑者でした」
この男性は後日、店内で山下容疑者と出くわした。伊藤さんの気を引こうと、幼稚な振る舞いを繰り返していたという。
「グラスをガチャガチャと雑に扱ったり、自分のスマホを放り投げるなどして大きな音を立てるんです。居合わせた客は気になります。伊藤さんは放っておけなくなり“ちょっと行ってきますね”と中座して容疑者をなだめました。要するに、かまってほしいんでしょう」(同・男性客、以下同)
機嫌を直すと、セクハラが始まった。
「そういった店ではないのに、ちょっと触りすぎだと思いました。強引に手をつないでベタベタしたり、伊藤さんの頭に手を回して自分の身体に引き寄せたりするんです。完全にセクハラですが、伊藤さんはうまくあしらっていました」
その様子を見ていた男性は我慢できなくなり「そういうの、やめたほうがいいんじゃない」と注意したという。すると容疑者は「おう、おまえやるのか」と言い返してきた。
「私も腕に覚えがあり、“やってもいいけど、あなたのほうこそ大丈夫か”と確認したら、急に態度を変えて“いや、そんなつもりじゃなくて”とトーンダウンしました。見た目はいかつい小太りのおっさんですが、強く出ると引くんです。“みんなの気分を害するなら帰ったほうがいいよ”と言うと、帰っていきました」

別の目撃情報によると、山下容疑者は、伊藤さんが接客中の男性客に対して「なんでおまえのとこばっか行ってるんだ」と詰め寄っていたこともあるという。