目次
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ー 炎症を防ぎ、若返り物質を増やす
Page 2
ー 血管が若返る食習慣
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ー 血管と深い関係のある“腸内環境”

「シニア世代で年齢よりも老けて見られるという人は、血管年齢も老化している可能性があります。近年の研究で、見た目の年齢や体内の老化は血管の年齢に左右されることがわかってきているんです

 と話すのは、愛媛大学大学院で抗加齢医学を研究する伊賀瀬道也先生。

炎症を防ぎ、若返り物質を増やす

「血管年齢とは、一般的に動脈硬化の度合いを表します。動脈硬化は血管の壁にコレステロールや脂肪の塊であるプラークがたまって、血管の壁が厚くなった状態のことをいいます。動脈硬化が進むと全身の細胞に酸素や栄養を運んでいる血流が滞り、肌のシミやシワ、髪の老化を招いて、見た目の年齢を引き上げてしまうんです」(伊賀瀬先生、以下同)

 血流が滞ることで起こる障害は、ほかにもある。

「手足の冷えやしびれ、免疫力の低下、認知機能の低下を招きます。さらに全身の臓器も酸素不足に陥ることで、脳が萎縮して認知症のリスクを高めるほか、脳卒中をはじめとした脳血管疾患など重大な病気も引き起こします。これらは要介護リスクを高め、健康寿命を縮める要因になります」

 つまり体内の老化を防いで見た目年齢を若く保ち、健康寿命を延ばすには、血管の健康維持が何より大切なのだ。

「残念ながら、動脈硬化は一度進行すると治せません。しかし生活習慣を改善してプラークが増えないよう血流を改善すれば、血管を若返らせることは十分に可能です」

 では、血管を若返らせるためには具体的にどうすればいいのか。

「動脈硬化の原因となるプラークは、血管に炎症が起きることで生まれる物質。血管の若返りにはこの炎症を鎮める必要があります。血管の炎症は、高血圧や血糖値の上昇、喫煙などによって傷ついた血管の壁に血液中の悪玉コレステロールが入り込み起こります。禁煙はもちろん、高血圧や糖尿病の正しい治療がとても大切

 また、近年の研究で血管は酸素や栄養を運ぶだけでなく、若返りホルモンのような物質を分泌していることもわかってきた。

「このホルモンは体内の炎症や老化を抑え、血管を拡張させて血流を促しています。さらに臓器の修復、新しい血管の生成を助ける働きもあり、血管や全身の若返りの重要なポイントです」