血管と深い関係のある“腸内環境”

 また、動脈硬化の予防には、血管のケアだけでなく、腸内環境を整えることにも有効。

「腸内細菌がつくり出す短鎖脂肪酸という物質には体内の炎症を抑える働きがあり、動脈硬化の予防が期待できます。短鎖脂肪酸を増やすには腸内細菌のエサとなる食物繊維やポリフェノールを積極的にとることが大切。食物繊維である野菜や海藻のほかに、緑茶、コーヒーなどの飲料やブルーベリーなどの果物にも豊富に含まれるので積極的に食べて。おすすめは、血流改善や抗酸化効果があるケール、抗炎症作用で血管を保護するモロヘイヤです。ほかにも、腸内の善玉菌を増やすヨーグルトや納豆などの発酵食品も推奨しています」

 食事だけでなく、週5回以上の入浴や7時間以上の睡眠、簡単な筋トレも血管の健康維持に有効だ。

「特に運動はストレス解消効果のほか、血管の善玉ホルモンの分泌を高めて血流を促進し、血圧を下げる効果があります」

 ランニングやウォーキングも欠かせないが、血管の健康のために、筋トレは必須だそう。

「糖を消費させる性質を持つ筋肉が増えることで、血糖値が改善されて血管へのダメージが軽減します。鍛えるのは第二の心臓と呼ばれる、ふくらはぎを重点的に行いましょう」

毛細血管の救世主!

 シナモンやルイボスティー、ヒハツには毛細血管を元気にする「Tie2」という物質が豊富に含まれる。シナモンは血糖値の上昇を抑え、血管の老化を遅らせる効果が期待できる。ルイボスティーは抗糖化作用が高く、血管の炎症を軽減。ヒハツに含まれるピぺリンという成分が血管を拡張し、血流改善に有効。

左下から時計回りでシナモン、ヒハツ、ルイボスティー
左下から時計回りでシナモン、ヒハツ、ルイボスティー
【写真】5個以上当てはまったら危険、血管の健康度チェック

シナモンとヒハツのおすすめのとり方

●ヒハツ

煮物やみそ汁など、料理に軽くふりかけて

●シナモン

紅茶やお菓子と相性◎。カレーや煮込み料理に入れると肉の風味を引き立ててくれる

肉や乳製品の脂は血管に影響がない?

 牛肉などの肉類や、チーズ・バターの乳製品、ココナツオイルなどの植物性油に含まれる飽和脂肪酸だが、ひと昔前まで心臓や血管の病気のリスクを高める悪い脂として扱われてきた。しかし、近年では少量であれば問題ないことがわかってきた。肉や乳製品を避ける必要はないが、適度な摂取を心がけて。

※写真はイメージです
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伊賀瀬道也先生 愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長。米国Wake Forest大学・高血圧血管病センターなどを経て2019年4月より現職。4000人以上のドック受診者に指導をするなど、抗加齢医学研究のトップランナーとして活躍中。
伊賀瀬道也先生 愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長。米国Wake Forest大学・高血圧血管病センターなどを経て2019年4月より現職。4000人以上のドック受診者に指導をするなど、抗加齢医学研究のトップランナーとして活躍中。
教えてくれたのは…伊賀瀬道也先生 愛媛大学大学院抗加齢医学講座教授、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長。米国Wake Forest大学・高血圧血管病センターなどを経て2019年4月より現職。4000人以上のドック受診者に指導をするなど、抗加齢医学研究のトップランナーとして活躍中。

取材・文/井上真規子