見た目の老けや重大な病を招く
「毛細血管が機能しないことで、抜け毛が増えたり、肌の代謝が落ちて肌荒れやシミの原因になるなど、老けを加速させるというのも知っておいてほしいですね」
さらには、脳や心臓といった重要な臓器にも影響が。
「脳でゴースト血管が増えれば、脳細胞がダメージを受けて認知症やアルツハイマー病のリスクを高めます。心臓の毛細血管がゴースト化すれば、心臓に十分な血液が行かないことで起こる無症候性心筋虚血になり、心不全など突然死の原因になることも。階段を上るのがしんどい、息切れしやすいなどの症状がある場合は、心臓の毛細血管が弱っている可能性があるので要注意です」
また、老化だけでなく、生活習慣の乱れによって生まれる活性酸素も大きな要因になると梶先生。
「活性酸素は、体内で自然に発生している物質。ですが、喫煙、飲酒、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣の乱れによって過剰に増えると血管にダメージを与えます」
なかでも注意したいのが、糖質に偏った食生活。
「炭水化物や甘い物の食べすぎで糖質に偏った食事を繰り返し血糖値の高い状態が続くと、内皮細胞が糖化物質のAGEsを取り込んで細胞が傷つき、活性酸素を大量に発生させてしまうのです」
ただ、毛細血管はとても細いので、ゴースト化しているかを検査などで確認することは難しいという。
「気になる人は血流の状態をセルフチェックしてみましょう。傷が治りにくい、手足が冷える、目の下のクマが消えないという人は、細胞に栄養が行き届いていない証拠。毛細血管のゴースト化が進んでいる可能性が高いです。また、すぐにできるチェック法に『爪床圧迫テスト』というものがあります。爪の根元を指で5秒ほど軽く押さえてから離し、赤みが戻るまでの時間をチェック。約2秒以内に戻れば大丈夫ですが、5秒以上かかる場合は、毛細血管の働きが弱まっているサインと考えられます」