食生活の改善で活性酸素を撃退

 セルフチェックで思い当たる症状があった場合は?

「血流が完全に滞って血管の形が消滅すると元に戻すのは難しいのですが、ゴースト化してすぐなら血流がよくなれば復活する可能性も。また、生活習慣の改善で、なるべく増やさない身体にすることはできます。まずは糖質に偏った食事を避け、食後血糖値の急上昇をできるだけ起こさないことがポイント」

 活性酸素を防ぐと同時に、体内の酸化を抑えて血管を守ってくれる栄養素をとることも忘れずに。

「青魚やエゴマ油などに含まれるオメガ3脂肪酸は、抗酸化作用が高く血管の老化を防いでくれます。同じく抗酸化作用があり、体内の炎症を抑えるビタミンDを含む鮭やきのこ、血流を改善するビタミンEを含むアーモンド、アボカドなども効果的です」

 更年期以降の女性は、女性ホルモンの分泌低下で血管が老化しやすいため、豆乳などの大豆製品でイソフラボンを補うのがおすすめ。

「女性ホルモンは血管を拡張させて血流を促進する働きがあるため、不足してしまう更年期以降は、女性ホルモンに似た働きをしてくれる大豆製品を積極的にとりましょう」

 また、ゴースト血管の改善には運動習慣も欠かせない。

「体内の活性酸素を抑えるには、激しい運動ではなく、ウォーキングなどの有酸素運動が有効です。ストレッチやヨガ、ピラティスは血流を促すのに効果的ですね」

 睡眠の時間と質も、血管の老化を防ぐのに大切だ。

「睡眠不足も活性酸素を増やす原因になるため、睡眠時間はしっかりとって。理想は1日7時間以上です。睡眠の質を高めるため、血管の緊張を持続させる夜間のカフェイン摂取は避けてください」

 とはいえ、一度にすべてを改善するのは現実的ではないと梶先生。

「継続が難しいですし、何より活性酸素を増やすストレスの原因にもなってしまうため、できそうなことから少しずつ始めてください」

教えてくれたのは梶尚志先生

梶の木内科医院院長/梶尚志先生
梶の木内科医院院長/梶尚志先生

梶の木内科医院院長。七夕医院総院長。日本抗加齢医学会専門医。総合内科専門医、腎臓内科専門医として、通常の診察では解決できない不調に体質、栄養学をふまえた治療と生活指導を行う。著書に『え、私って、栄養失調だったの?』(みらいパブリッシング)など。

<取材・文/井上真規子>