松嶋菜々子の“代表作”になる可能性
そんな“毒親”の登美子を演じているのが松嶋菜々子。松嶋は朝ドラのヒロインを演じた後、数々のドラマに出演して人気を博し、今では実力派ベテラン女優と言われるようになった。どんな役を演じても評価は高いのだが、“嫌われ役”を演じるとさらに評価は高くなり、《松嶋はいい人より、こんな役がピッタリだ。彼女の真骨頂だ》という声が多数上がってくる。
映画ジャーナリストによれば、
「“綺麗なお姉さん”に年齢と経験を重ねて女優としての貫禄も加わり、あの“高嶺の花”感は高飛車で意地悪な役にピッタリ。そんな自分が持たれているイメージをよく理解しているんでしょうね。だから、憎まれ役も思い切って演じられるのだと思います。生活感のある年相応の役を演じられることも大事ですが、嫌味なくらい気高く品のある役を演じられる俳優は貴重な存在です。
今回の登美子役で、松島さんの演技にさらに磨きがかかったと感じました。助演でありながら抜群の存在感を示したことで、『あんぱん』は彼女の代表作になる可能性大です」
『あんぱん』では彼女の持ち味が十分すぎるほど活かされているということなのだが、平穏な時間が訪れ、しかし視聴者は何か物足りなさを感じている……というタイミングで、また登美子が現れた。そして、崇とのぶの生活をかき乱すのだった。
「視聴者は彼女の存在に対して“いいときになると、この人が出てきてぶっ壊す。やめて”とイラつきますが、その一方で“これはまた何か一波乱起きそうだ”と、その後の進展に期待を抱きます」(テレビ誌ライター)
登美子の存在は、中だるみの解消にも一役買っているという。そんな登美子のモデルは『アンパンマン』に登場するドキンちゃんと言われているが、確かに“悪キャラ”ではあるが、どことなく憎めないところはよく似ている。
登美子が“本当はいい人だったんだ”、と言われるのは、いつになるのか――。