食生活の改善と運動不足の解消がポイント

腎臓を強くするシンプルな食べ方
腎臓を強くするシンプルな食べ方
【要チェック】腎臓を強くするシンプルな食べ方

 慢性腎臓病の予防に役立つのが、シンプルな基本の食べ方だ。

「腎臓を傷める食べ物が高カロリーで塩分・糖分・脂質・カリウム・リンを含む食品。これらを避けることができれば、慢性腎臓病になるリスクは軽減します」

 腎機能の検査をした時点で慢性腎臓病と診断された場合は、腎機能低下の進行度によって分類された6段階のステージに合わせて食事制限をする。

「慢性腎臓病の治療には薬物療法も行われますが、基本となるのは食事療法です。健康な状態から食生活を改善すれば、慢性腎臓病だけでなく、生活習慣病の予防にもなります」

 注意すべき食品には次のようなものがある。

「ハム・ソーセージなどの食肉加工食品やかまぼこなどの練り製品は、高血圧を招く塩分やリンが多く含まれているので、控えめにしましょう。菓子パンやお菓子、オレンジジュースなどのジュース類には糖尿病の原因となる糖が多く、腎臓の血管を傷つけやすいため、避けて。肉類には肥満になりやすい脂質が多く含まれています。肉や魚などのタンパク質は、高齢者に必要な栄養素ですが、腎臓病患者にとって、とりすぎは身体への負担が大きいのでほどほどに」

 リンは骨の生成に必要な成分で、神経や筋肉を正常に働かせる重要なミネラルだが、とりすぎると骨にあるカルシウムを吸い取り、骨粗しょう症を招く可能性が。

「さらに、リンとカルシウムの結合によって生じた結晶が血管の内壁に沈着すると、血管が硬くなり、動脈硬化が進行します。リンはタンパク質に多く含まれるだけでなく、加工食品にも含まれているため、過剰摂取になりやすく、注意が必要です」

 調理のコツは「油を使わないこと」と上月先生。

「揚げ物や炒め物は避け、『蒸す』『煮る』を中心に。煮るとビタミン類が失われるため、蒸すのがおすすめ。塩分の多いしょうゆはやめ、味つけはラー油・酢・刻みニンニク・カレー粉などで応用を」

 慢性腎臓病の予防には運動も重要だ。

「これまで、慢性腎臓病の治療は安静第一とされていましたが、近年は運動療法も腎機能の改善に効果的であることがわかってきています。特にやってほしいのが、筋トレよりもランニングやウォーキング。有酸素運動は、腎臓の血管を広げて、ろ過機能を高め、腎臓に悪影響を及ぼす活性酸素を無害化します。目安は1週間に有酸素運動を合計150分。1日約20分〜30分の速足のウォーキングがおすすめです」

市販のサラダドレッシングに注意

 腎臓の機能を低下させる原因のひとつである高血圧。カリウムや食物繊維が豊富なサラダは血圧を下げる効果があり、腎臓病予防にもってこい。ただ、サラダにかけるドレッシングには注意が必要。

 市販品の多くは、塩分や油分が多め。味つけをしたいときは、酢に塩、香辛料、植物油を加えて、減塩・減油・減糖を意識した手作りドレッシングに。塩は風味豊かなハーブ塩がおすすめ。手作りすると塩分含有量が50~70%と自然に減塩が可能となる。油脂は血管を拡張して血圧を下げる働きのある成分が豊富な、アマニ油やエゴマ油をチョイスして。

1日1杯以上のみそ汁は避けて

 みそ汁に含まれる塩分量はおよそ1.2~1.5g程度。これを3食分とってしまうと3.6~4.5gとなり、1日の塩分摂取量の目標値である6gの半分以上をみそ汁だけで超えてしまう事態に。そのため、1回に飲む量を減らしたり、食べ残しをするなどの方法もあるが、1日1杯にとどめるのが賢明。可能であれば、自家製のだしをきかせ薄味にして塩分カットしよう。