「人材もいない」自民党の現状

 自民党に逆風が吹き始めたのは、パーティー券に絡んだ裏金問題。その“恩恵”を受けていた茂木議員のような、旧安倍派の議員たちが石破おろしの中心になっていることも関係している、と有馬氏は続ける。

「“スリーアウト、チェンジ”なんて面白がって言ってますが、もとはといえばあなたたちが悪かったんだろう、と。大きなブーメランとして返ってきているわけです。党内で批判している人たちのほうが責任を全部、石破さんに押しつけて、うまく逃げようとしている、と国民の目に映っている。

 こうした、自民党の古い体質がダメなんじゃないかと。石破さんが辞めたら、次は誰がやれば変われるのかといっても、もう人材もいないじゃないですか。前回の総裁選には9人も立候補したけど、なぜ今、手を挙げないのか。火中の栗を拾いたくないとか、自分の都合で考えているだけ。

 本来、総理を目指す人は“この国をこうしたい”という意欲があってやるはずなのに、今、次期総理候補で名前が上がっている人たちは、ただ総理をやりたいだけ。この国をどうしたい、と考えてるわけではないというのが国民には透けて見えますよ」

 振り返ってみると、石破首相は就任前、自身の考えを主張し続けてきた。

「石破さんもある意味、こだわりのある変人みたいなところがあるじゃないですか。安倍内閣のとき、みんな安倍さんになびいていたのに“このやり方では自民党が終わってしまう”と立ち向かったのが石破さん。

 総理になった今は、数の後ろ盾がないので、森山裕幹事長など力を持っている古株たちの意見をくんでいますが、国民はそういう裏事情もわかっています。今の政策は石破さんの本意ではない、と感じていることも“石破推し”の原動力になっているのかもしれません」(有馬氏)