大森がほかの2人を「推そうとしている」

 また、表現においても、

「MVやライブなどで、衣装や演出などのコンセプトを徹底している点も、嵐と近いかもしれません。音楽面だけでなく“エンタメ”としてのよさを追求しているように思います」(衣輪さん、以下同)

 一般的に“フロントマン”としてバンドを牽引するのはボーカルであることが多いが、

「このところミセスは“個”が立ってきており、5人全員が第一線で活躍していた嵐に近づいているのではないでしょうか」

大森元貴は映画『#真相をお話しします』で、菊池風磨とともに主演を務めた(公式HPより)
大森元貴は映画『#真相をお話しします』で、菊池風磨とともに主演を務めた(公式HPより)
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 前出の布施さんによると、ミセスは「大森さんがほかの2人を推そうとしている」のだという。

「何もしないでいると、どうしても大森さんだけが目立つ形になってしまいます。しかし、2人の才能とキャラを立てたいという思いが強くあり、その後押しをしているようです」(布施さん、以下同)

 実際、ギターの若井は昨年4月から放送されている音楽バラエティー番組『M:ZINE』(テレビ朝日系)でMCに挑戦。キーボードの藤澤も、9月に公開される『ベートーヴェン捏造』で映画に初出演するなど、多岐にわたる才能を発揮している。

「インタビュー中にも、大森さんが“りょうちゃん(藤澤)はどう思う?”などと、ほかの2人にすごく自然に話を振る場面がよくあります。そのおかげで、全員がバランスよく話してくれるんです(笑)。大森さんは“3人でミセス”だという気持ちが強いのだと思います」

 多くの共通点を持つ嵐とミセス。今後、ミセスがより“理想”に近づくためには、

「取材陣や一緒に仕事をするスタッフに好かれることがとても重要だと思います」

 と、衣輪さんは言う。

「嵐は、オフのときでも“カメラ回ってるっけ?”と思うほど仲がよくて、現場が楽しい雰囲気になるんです。それが“普段からこういうキャラなら、こういう企画ができるかも”といったキャスティングにつながることも。

 業界の人に好かれて“この人と仕事がしたい”と思わせたことが、嵐が嵐たる最大の理由です。もちろん、無理をして取り繕う必要はないですが、ミセスのさらなる爆発のカギはそこにあると思います」(衣輪さん)

ふせ・ゆういちろう シンセサイザー開発職を経て、2000年より音楽テクニカルライターとして執筆活動を開始。音響学、楽器、音楽に関する取材記事をはじめ、音楽作品のライナーノーツ、ライブレポートなど、「音」や「音楽」にまつわる活動は多岐にわたる。2022年、『音の正体』(シンコーミュージック)を出版
きぬわ・しんいち メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト「ORICON NEWS」など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中