難航した楽曲使用
しかし、楽曲使用には大きな壁があったという。
「元職場であるテレビ朝日のベテランデスクに“河合奈保子さんの楽曲を使用したい”と連絡すると、“それは絶対に無理”と言われたのです。どうやら活動を休止して以来、マスコミの取材は、ほぼすべて断り続けているとのこと。
ですが、そのとき私の頭の中は“主題歌は河合奈保子さん以外ありえない”となっていたので、ダメもとでレーベルに問い合わせてみました」(山根監督、以下同)
それから2か月がたっても、レーベルからの返事はなかった。
「映画の撮影も終わり、そろそろ主題歌を決めなければならない時期に差しかかって……。もしダメなら別の曲を早急に探す必要に迫られていました。
あきらめかけていたころ、突然電話が鳴って。レーベルの担当者からでした。急いで電話に出ると“河合奈保子、OK出ました。本人から、いいですよ、とのことです”と。背筋がゾクッとして、身震いしたことを覚えています」
念願叶って起用が決まった楽曲への思いを山根監督はこう語る。
「『WingsOfMyHeart』は、人にとって最も大切なものは何かを率直に伝えてくれる曲です。こんな素敵な曲を生み出してくれたアーティスト・河合奈保子さんには感謝しかありません」
映画の公開は9月5日。ストーリーと併せて、河合奈保子の隠れた名曲にも耳を傾けてみては。