歯周病菌を体内に侵入させない

 どうすれば歯周病菌の増殖を防げるのか?

まずは歯石を増やさないこと。歯磨きが不十分だと、歯と歯ぐきの間に口内の菌が固まって歯垢(プラーク)ができ、さらにそれが塊となって歯石になります。たまった歯石は、歯周病菌の増殖を促します。歯石になる前に、歯磨きや歯間ブラシで汚れを残さず取り除くことが大切です」

 歯石は自分では取るのが難しいため、歯科医院での歯石取りが必要になる。

「歯ぐきにはみ出して歯ぐきを強くこする歯磨きは歯ぐきの出血や炎症の原因となり、口内から体内への菌の入り口となるためNG。2~3か月に1度のペースで歯科医院での歯磨き指導と歯石取りを推奨しています」

 歯周病菌は腸内細菌のアンバランスを引き起こし、腸内環境を悪化させる。そして腸内の歯周病菌がこれまた全身にばらまかれる。

 腸内環境を整えて免疫力を高めることも、必要不可欠だという。そこで大切なのが、歯石をつくりやすくする食べ物や、腸内環境を乱す食品を避けること。

「食べかすや口腔内の唾液に含まれているカルシウム、リンなどの成分が結合して時間をかけて硬化し、石灰化すると歯垢が歯石になるため、カルシウムとリンのとりすぎに注意。リンを多く含むのはハム、ソーセージなどの加工食品です。意外にもカルシウム含有量が非常に多い牛乳は同時にリンも多い食品です。

 反対に、噛むときに歯の表面をキレイにしてくれる、食物繊維は有効です。ごぼうやにんじん、レタス、セロリなどが代表的で、歯だけでなく口内の粘膜の表面についた汚れを取り除いてくれます。習慣的に食べることで結果的に歯石のできにくい体質になります」

 避けるべき食品は?

「歯周病菌のエサになる白砂糖、歯周病菌を増やす小麦は避けてください。身体内に侵入した歯周病菌の働きを抑制するには、食物繊維とタンパク質をとって、乳酸菌を含む植物性食品や納豆などの発酵食品もメニューに取り入れるといいでしょう」

 歯周病菌の増殖を抑えるカテキンが豊富な緑茶、抗炎症作用で歯ぐきを強くし、炎症を抑える根生姜、ネギ、ニラ、ニンニクも積極的にとりたい。

「殺菌、抗菌作用のある唾液の分泌も大切。食事の際はよく噛み、口内の唾液の分泌を促しましょう。口呼吸の人は、唾液が乾いて歯周病菌が増えやすくなるため、日頃から鼻呼吸を。

 会話のときに、さ行が発音しづらい人も注意。正しい発音には前歯の位置と、上の歯の裏側の歯ぐきの形が大きく関係しているため、歯のぐらつきや歯ぐきが腫れている可能性が。そのまま放置をせず、異変を感じたらすぐに歯科医院で検査をしましょう」