佳子さまの感動の言葉

万博の開会式前日に大屋根リングを視察する天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻(2025年4月11日)
万博の開会式前日に大屋根リングを視察する天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻(2025年4月11日)
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 佳子さまは、ペルー南部にある世界文化遺産、インカ帝国時代のマチュピチュ遺跡を訪れたが、その際にこのような感動を口にしている。

「本当にすごく、こう、壮大な景色で、あのー、写真では拝見したことはあったんですけれども、やはりこの場に立ってみると、おおおー、という感じがすごくします。本当に、何か、こう、素敵な、空気を感じます」

 8月のボルアルテ大統領との会見で、天皇陛下は佳子さまのペルー公式訪問に触れ、「ペルーの皆さんに大変、歓迎され感謝します」とお礼を述べたという。

 大統領は、ペルーに移住した日系人たちについて、「果たしてきた役割は非常に大きいものがある」と話し、灌漑事業への貢献が多大であることなどを説明したという。

「TICAD(アフリカ開発会議)を通じて30年以上にわたり育まれてきた日本とアフリカとのパートナーシップが、いっそう強固で豊かなものになるよう祈念いたします」

 天皇、皇后両陛下は8月22日、横浜市で開かれた、TICADに出席した27か国とアフリカ連合委員会の首脳夫妻らを招き、皇居・宮殿で茶会を催した。陛下は、民族衣装などを着たアフリカからの出席者を前に、前述のように挨拶した。

 茶会には、秋篠宮ご夫妻や両陛下の長女の愛子さま、それに佳子さまらも臨席した。和服姿の佳子さまたちは、飲み物を手にしながら、出席者と30分ほど懇談した。

 今年は、戦後80年の節目にあたるが、長野県軽井沢町で静養中の上皇ご夫妻は8月23日、中国・旧満州(現在の中国東北部)から戦後、引き揚げてきた人たちが入植した大日向開拓地を散策した。

 1947年、昭和天皇がこの開拓地を地方巡行で訪れて、入植者たちを激励している。

 上皇ご夫妻は、皇太子ご夫妻時代から天皇陛下や秋篠宮さまたちを連れて、たびたび足を運んでいる。今回、おふたりはキャベツ畑を手をつないでゆっくり歩き、生育状況などを見て回った。報道によると、上皇さまが「よく育っているみたいだね」と話すと、上皇后さまが相づちを打っていたという。

 その上皇さまは'87年8月、記者から、《戦争を知らない世代がどんどん増えていますが、お子様に戦争当時のことをどうやって伝えておられますか》と尋ねられ、文書回答の中で次のように答えている。

《なかなか難しいことだと思います。ただ、私は近代の歴史を勉強するようにと言っています。歳をとった人が自身で体験したことでも、若い人にとっては歴史として学ぶことになります。

 例えば、私にとって第一次世界大戦は遠い昔のことのように思われますが、今の若い人達にとっては、先の大戦もちょうど同じくらいの昔のことになります》

 '23年11月、誕生日を前にした会見で、記者から佳子さまのペルー公式訪問などについて質問された秋篠宮さまは、「日本国内での公的な仕事、そういうものもあわせて非常に一所懸命取り組んでいると私は思っています」などと、佳子さまを高く評価した。

 まじめで努力家の佳子さまのことだ。日本や世界の近代史についても、「非常に一所懸命」学んで、戦争の悲惨さなどをしっかり理解していることだろう。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に2025年4月刊行の『悠仁さま』(講談社)や『秋篠宮』(小学館)など