好感度が高い相葉雅紀

嵐「今後の活動」に関する会見での相葉雅紀('19年11月)
嵐「今後の活動」に関する会見での相葉雅紀('19年11月)
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 グループ結成から26年、相葉はそのポジションに決して腐ることなく自分の仕事を続けていて、その姿は男性や年配層からも好感度が高い。もっとも、嵐自体がグループ内での序列などを意識させない稀有なグループなので、筆者も誰のことも批判するつもりはないが、その姿を見てきた視聴者からすると、ほんの1週間であり、トリプル主演でもあったが、今回の相葉の勝利は非常にメモリアルな出来事といえる。

 近年の嵐のメンバーの状況を見てみよう。

 芸能活動休止中の大野は別として、松本は2023年の大河ドラマ『どうする家康』が、思ったほど盛り上がらずに終わった印象が強い。だがその前年の『となりのチカラ』も不発に終わっていた頃から、すでに絶頂期は過ぎたように見えていた。

 櫻井は3年連続で主演している『占拠』シリーズの評判は賛否両論。24年に助演した『笑うマトリョーシカ』の、感情の読めない政治家役は個人的には見応えがあり、今後は年齢と共に助演も務めるようになるのかもしれない。

 二宮は『ブラックペアン』や『VIVANT』などのヒット作に出演。最新映画『8番出口』も話題になっており、作品運も強いといえる。

 ただこれは、嵐全員に言えることだが、あまりに外見が若すぎて、実際に40代になっているのに青年に見えてしまい、父親役や重厚感のある役が似合わないという、アイドルの宿命を背負っている。そもそも以前だったら、嵐の3人が同時に連ドラに主演したら大騒ぎになったはずだが、今回の視聴者の反応からは時代の変化も感じさせられた。

 そんな中、相葉もパンツ一丁のシーンがあった『今日からヒットマン』など、なかなか厳しい作品を振られていたが、今回はテレ朝の人気枠水9で10年ぶりの新作となる『大追跡』に起用。正義感がありつつも、時に内閣官房長官の甥であることをちらつかせたりする警視庁のキャリア刑事を好演。遠藤憲一や大森、松下らとのアンサンブルも良く、今後シリーズ化が期待される。年を上手に重ねていけば、人柄に対するファンが多いだけに、相葉が一番安定して活躍できる可能性もある。

 事務所の問題もあり、松本と二宮は新規事務所を設立。来春には嵐が解散するなど、40代になった彼らが岐路に立たされているのは間違いない。今はイケオジという便利な言葉もあり、誰がそこへスライドしていけるかが、彼らの明暗の鍵になりそうな気がする。

古沢保。フリーライター、コラムニスト。'71年東京生まれ。『3年B組金八先生卒業アルバム』『オフィシャルガイドブック相棒』『ヤンキー母校に帰るノベライズ』『IQサプリシリーズ』など、テレビ関連書籍を多数手がけ、雑誌などにテレビコラムを執筆。テレビ番組制作にも携わる。好きな番組は地味にヒットする堅実派。街歩き関連の執筆も多く、著書に『風景印ミュージアム』など。歴史散歩の会も主宰。