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ー 脚本家が“ウラ事情”を告白

 

 9月9日放送の連続テレビ小説『あんぱん』に登場した松嶋菜々子演じる登美子。その“すがすがしい”までの容赦ない毒舌ぶりが話題になっている。そこには、同作を手がける脚本家・中園ミホの“隠された愛情”が詰まっているようでーー。

脚本家が“ウラ事情”を告白

「この日、北村匠海演じる崇がようやく描きためていた『アンパンマン』が日の目を浴びました。編集者から『ぜひ次回作を』と求められた際、同席していた今田美桜演じるのぶが空飛ぶ太ったおじさんがあんぱんを配るというストーリーを猛プッシュ。その熱意にほだされ、編集者が『アンパンマン』の雑誌掲載を決定したのです。

 ところが発売後、作品を一読した登美子は『アッハハハハハハ』と高笑い。のぶが『そんなに面白いですか!?』と身を乗り出すと、登美子は『最悪ねぇ』とグサリ。さらに淀みなく、『マントもボロボロで武器も買えないぐらい貧乏なんでしょ? おまけにハンサムじゃないし汗っかきだし、あんまりお風呂にも入ってないみたいだし、それに……』と言いたい放題。のぶが『それまで!』と制したほどでした」(ドラマ誌編集者、以下同)

 自分の息子が描いた作品を、どこまでもこき下ろす毒母・登美子。ネットではさも不評の嵐かと思いきや、

《ここまで言いたいこと言えたら気持ちいい》
《さすが登美子》
《小気味よいほどの早口毒舌が楽しい》

 と、なぜか好感の声が寄せられ、さらにはこんな意見も見られた。

《やまとなでしこの桜子さんがそのまんま歳をとったようなキャラクター》
《大笑いからのダメ出しの嵐に、やまとなでしこの桜子さんを思い出しました》

「それが中園さんの狙いなのでしょう」というのは前出のドラマ誌編集者。

「『あんぱん』の脚本家は、2000年に松嶋さん主演で大ヒットした『やまとなでしこ』の脚本を手がけた中園さんです。同作の主人公・神野桜子は、欲望に正直なのにどこか憎めないキャラクター。『どうしてルックスや性格で男を選ぶのは褒められて、お金で男を選んじゃいけないわけ?』などと、こともなげに言い放ち、小気味いいと喝采を浴びましたが、登美子のドSで爽快感さえ感じるセリフは、まさに桜子を投影しているようにも思えます」

 登場しては何かと事を荒立て、毎回話題をさらっていくヒールキャラの登美子。『あんぱん』に松嶋を推挙したのは中園だというが、そんな中園も登美子の人物設定に悩んだときがあったようだ。

「8月22日に配信されたインタビューでは執筆のウラ事情を告白。途中から登美子をいい母親にしようとすると、それを漏れ聞いた松嶋さんが『私は最後までこのままでいきたい』と熱望。この“後押し”もあり、中園さんも思い切り筆を振るったと語っています。登美子はまさに、中園さんと松嶋さん、ふたりの想いで作り上げられたキャラクターというわけです」

『あんぱん』も残すところわずか。登美子の毒舌を欲している視聴者は、まだまだいるに違いない。