女優・三田寛子は典型的なミュート婚

 夫の存在を意識的に見えなくするミュート婚というと、女優・三田寛子さんもこのカテゴリに入るのではないでしょうか。8代目・中村芝翫さんは芝翫襲名直前から断続的に女性との不倫が報じられています。当初は芝翫さんの代わりに頭を下げていた三田さんですが、最近は完全にふっきれたと見え、成駒屋の女将さんとしての仕事や3人の息子さんのサポートはしつつも、忙しい合間をぬって韓国やパリに一人旅をしたり、同期のアイドルたちと旧交を温めています。インスタグラムの自己紹介欄にも「歌舞伎一家を支えながら、自分自身の人生も楽しんでいます」と明言し、インスタは“夫以外”で埋め尽くされています。

フランス旅行ではエッフェル塔のレストランでランチを楽しんだという(三田寛子のインスタグラムより)
フランス旅行ではエッフェル塔のレストランでランチを楽しんだという(三田寛子のインスタグラムより)
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 それでは夫と疎遠かというとそんなことはなく、中村芝翫さんの甥にあたる中村七之助さんの結婚披露宴のような家族としての公式行事には、全員で参列しています。ただ、三田さんと3人のお子さんはきちんとした礼服でバッチリ決めているのに、芝翫さんの礼服はシワシワ、かつサイズが合っていないように見えて話題となりました。

 2025年3月11日・18日号『女性自身』によると、不倫相手との同棲を解消し、三田さんら家族の待つ家に帰ったと思われた芝翫さんでしたが、実は不倫相手と完全に切れておらず、芝翫さんの実家でまだ同棲中と報道されただけに、別宅から参加したと見る人もいたようです。

 もし本当に不倫相手と切れておらず、同棲が続いているのであれば、こういうときこそ、不愉快な情報を取り込まない、ミュート婚の便利さが活きてきます。家にいない人の礼服の用意を三田さんがする義務はありませんし、シワシワ礼服で恥をかいたとて、三田さんが用意したわけではありませんから、三田さんの責任ではないのです。

 ミュート婚の利点は、“あえて戦わない”ことで、かえって自分のスゴさをアピールできることではないでしょうか。たとえば、三田さんのシワシワ礼服のケースで言うと、「今まで芝翫さんがぱりっとしていたのは三田さんのおかげだった。やっぱり三田さんはすばらしい」と印象付けることができ、三田さんを応援する人が増えていくでしょう。

 志穂美さんの場合でも同じことです。前述した『週刊文春』では、不倫だけでなく、長渕さんのスタッフへのパワハラや志穂美さんへのモラハラも報じられています。長渕さんは否定していますが、おそらく身内となった人に厳しく当たるタイプの人なのでしょう。志穂美さんは長渕さんのツアー時にスタッフをねぎらうことも忘れなかったそうですが、20代の女性が長渕さんからの仕打ちに耐え、スタッフを気遣いつつ、社長業をこなせるでしょうか。ミュート婚は「やれるもんならやってみな」という“献身妻”からの挑戦状なのかもしれません。

 ミュート婚を選ぶ人というのは、もともとがとてもまじめな妻だった人ではないかと思います。夫のため、家族のために自分を二の次三の次にしてきた。それを夫が汲み取ってくれて感謝してくれれば報われるのですが、調子に乗って好き放題を重ねる人がいるのも事実。そうなると、妻はある日突然「私のやってきたことって何だったんだろう」と思ってしまう。妻としてやりきった感がある人ほど、気づいてしまったときの醒めっぷりがすごいのではないでしょうか。

 しかし、世の夫は単純と言うか、妻の“覚醒”に気付かないことが多いように思います。最近、妻があまり文句を言わないとか、これやってあれやってと頼まれなくてラクでいいと喜ぶ夫がいますが、もしかすると、それはこっそり“ミュートボタン”を押されたからかもしれません。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」