母親も子どもも幸せであれる関係
ベビーシッターなど外部の力を借りて、2人とも仕事量を減らさないようにする方法もあるが、マミさんはそれについても、まだ答えが出せないそうだ。
「私が他人の力を借りることを許せるかどうかですよね。お金の問題ではなく、それはいい母なのか、やっぱり自分の手で育てたほうがいいんじゃないかと考えてしまうので。ただ、いろいろな選択肢が取れる社会になったらいいなとは思います」
マミさんはベトナムに来る前にキャリアコンサルタントの資格を取得した。「親も子も幸せなキャリアと子育てについて考える」ためだ。自分と同じように退職して夫の海外赴任に同行し、自分のキャリアについて悩んでいる女性を支援したいという思いもあるという。
親も子もお互いが幸せになれる時間の過ごし方は何か。これから、じっくり考えていきたいと明るい口調で言った。
◆
次回は発達障害の息子を育てる専業主婦(56)の話をお伝えする。
はぎわら・きぬよ 大学卒業後、週刊誌記者を経て、フリーライターに。社会問題などをテーマに雑誌に寄稿。集英社オンラインにてルポ「ひきこもりからの脱出」を連載中。著書に『死ぬまで一人』(講談社)がある
取材・文/萩原絹代