共働き家庭のキャリア格差
娘が4歳になり、育児もだいぶ楽になってきたと感じたころ、息子を出産した。1人目のときとは違い、気持ちにも余裕があったという。
「4年ぶりの赤ちゃんはかわいかったです。2人目は母乳にこだわらず、最初からミルクをあげました(笑)。1年後に必ず仕事に戻れる安心感があったので、育休の1年間は何も考えないで楽しもうと思っていましたね」
復帰に際して不安はなかった。ワーママとしての経験もあるし、前よりもうまくやれる自信すらあった。
ところが、復帰後すぐに仕事がうまく回らなくなる。子どもたちは保育園に預けていたが、毎月どちらかが病気にかかってしまう。1人が治っても、もう1人にうつり、最後は自分もかかる負のループ……。
会社側は良かれと思って、責任の重大な仕事を任せてくれなくなり、マミさんは「キャリアが積めない」「私ってお荷物?」と焦りが募ったそうだ。
復帰して3か月後、夫に突然言われた。
「俺、ベトナムに異動がありそうなんだけど」
マミさんにとっては、まさに青天の霹靂だったが、その後の決断に迷いはなかった。
「もし、そこで私が一緒に行かないと言ったら、彼も行くのをやめたかもしれないけど、行きたそうだったし、じゃあ、私は辞めてもいいかと。
私の勤務先は退職しても3年以内なら再雇用の制度があったし、別々に暮らすことは考えられなくて。私の実家は家族仲が良かったので、やっぱり家族は一緒にいたいって思っちゃうんですよ。最近、それも一種の呪いなんじゃないかと思うんですけど」
結局、マミさんは復帰して1年もたたずに退職した。だが、夫は先に単身で赴任したため、退職前の半年間は完全なワンオペで仕事と育児をこなした。子どもの病欠が続きそうなときは実母に来てもらって在宅勤務にしたり、家事代行サービスも使ったりしてしのいだ。
「大変すぎて、そのときのことは、もうあんまり覚えてないです」
それまで、何を聞いてもハキハキと話していたマミさんだが、思い出すのも嫌なのだろう。