「勝ちはしたものの、高市さんを支持する議員が多い旧安倍派は弱体化の傾向にあります。政権基盤を安定させるためには挙党態勢を構築する必要がありますが、小泉進次郎さんや林芳正さんなどライバルを重要なポストに起用する度量があるのか試されます。また、現段階で野党との交渉も誰が行うのか不明ですし、いいチームがつくれないと前任の石破さんのように短命政権となるかもしれません」

国民の理解を得られない可能性も

 政治評論家の有馬晴海さんも、先々を不安視している。

「高市さん自身は“女性初の首相”といったことを大々的にアピールせず、気骨のある政治家だと思いますし、彼女なら国民民主党や参政党に流れていった支持者を取り戻せるかもしれません。しかし現在、自民党が議席を減らしているのは、裏金問題や自民党と旧統一教会との関係といった安倍さんが残していった問題が大きい。その点で言えば、安倍さんがいたころの自民党を目指すような高市さんのスタンスだと、国民の理解は得られないでしょう」

 前出の青山さんも、

「小泉純一郎政権なら郵政民営化、安倍政権は集団的自衛権やアベノミクスなど、良しあしは別として目標を明確に掲げていましたが、今回の総裁選の立候補者は5人ともやりたいことがわかりませんでした。国民の声に応える目標を掲げなければ石破政権の二の舞いになるかもしれません」

 高市氏が自身のビジョンを示さない限り、自民党に漂う暗雲は払拭できない……。