ファッション誌との“体力差”も

 時間をかけて作った雑誌が、発売と同時にネット上にアップされてしまうケースも。

「ファンの子たちがページをスマホで撮影してすぐにSNS上にあげるので、それを見て満足する人も多かったと思います。編集部も注意喚起などをして対策に乗り出していましたが、効果はなかったようですね」(同・出版関係者)

アイドル誌と言われる媒体で唯一残ったのは集英社『Myojo』(公式Xより)
アイドル誌と言われる媒体で唯一残ったのは集英社『Myojo』(公式Xより)
【写真】老舗誌が軒並み“休刊”…唯一「生き残った」アイドル誌

 アイドルについて研究している上岡磨奈氏によると、

「消費者側の購買スタイルが変化したこともあるのではないでしょうか。“書店や通販で雑誌を買って、グラビアを楽しむ”という行為自体が今の若い層にはあまりなじまなくなっているのかもしれません。アイドル自身もSNSで写真や動画を発信することが当たり前になっているので、スマートフォンがあればいつでもどこでも見ることができてしまいますからね。その中でMyojoが早期に導入した“ジュニアデータカード”のような付録や、小さいサイズの誌面のように、持ち運べる“モノ”の価値を打ち出せた媒体が生き残った側面もあります」

 STARTO社のタレントが、ファッション誌やコスメ誌に活躍の場を広げたことも大きいようだ。

「ファッション誌などでは、シチュエーションや撮影手法などの企画性にこだわる余地が大きいです。たとえば恋人感やリアルな日常を演出するときなど、雑誌全体のトーンで世界観を作り込める強みがあります。アイドル誌でも似た演出はありますが、掲載人数が多く、1号で複数グループを扱う構成上、ひと組に注力することが難しいのでは。企画の体力差がファッション誌との違いを生んでいるのだと思います」(上岡氏)

 アイドル誌が置かれている環境は、依然として厳しい。しかし、紙媒体はコスト面で厳しい状況にある一方、丁寧な取材や写真の質、アーカイブ性など、独自の強みを持っていることも事実。これからは、デジタルと紙をどう共存させていくのかが生き残りの鍵になりそうだ。