安定的な皇位継承のあり方
以前、この連載で触れたが、衆参両院の正副議長は今年1月、与野党各会派の代表者と会談し、安定的な皇位継承に向けた皇族数確保をめぐる協議を再開した。
2月には、安定的な皇位継承のあり方をめぐり、衆参両院の議長・副議長と各党の代表者らによる会合が開かれ、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、配偶者と子どもも皇族とするかどうかについて、各党が意見を述べたが、隔たりが見られたという。
秋篠宮さまは昨年11月の誕生日会見で、女性皇族が結婚後も皇室に残る案について記者から尋ねられ、こう答えている。
「基本的にこれは皇室のシステム、制度に関わることでありますので、これについて私が何かお話しするということは控えることにいたします。
ただ一方で該当する皇族は生身の人間なわけで、その人たちがそれによってどういう状況になるのか、そのことについて私は、少なくとも、そういう人たちを生活や仕事の面でサポートする宮内庁の然るべき人たちは、その人たちがどういう考えを持っているかということを理解して、もしくは知っておく必要があるのではないかと思っております」
また2019年6月の記者会見では、皇族が減少する中での活動のあり方について質問され、次のように話している。
「皇族が減少する、これはもちろん高齢になる場合もあれば、結婚して皇族でなくなる場合、両方があります。一方で、その国際親善の担い手が少なくなる。しかし、これはある意味、仕方のないところがあります。私は可能な人数でできる範囲のことをすればよいのではないかと考えております」
さらに、「皇族の数が今後減るということについてですけれども、これは確かに今まで皇族が行ってきたいろいろな仕事、それから役割が、だんだんそれを担う人が少なくなるということはありますけれども、国費負担という点から見ますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」(2009年の誕生日会見)とも、秋篠宮さまは語っているのだ。
同じ日に秋篠宮ご夫妻は福岡市で、佳子さまと悠仁さまは東京の国立競技場で、分担して別々の仕事をする。あるいは、札幌で紀子さまが公的な活動をしている一方、悠仁さまは一人で大阪・関西万博を視察している。
秋篠宮ご一家は、家族が分かれて仕事をこなすことで、2倍、3倍もの活動ができる。
もし、天皇ご一家が一人ずつ分かれて仕事をすれば、3倍の仕事が可能となるであろう。限られた皇族数の中で、とても合理的なやり方だと思う。女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、配偶者と子どもも皇族とするかどうかという議論より、よほどわかりやすく、国民からの支持も得られるのではなかろうか。無理のない範囲内という条件付きで、佳子さまたちの新しい働き方が、求められるのかもしれない。
<文/江森敬治>
 
 
   
    










