セラピストにとっても、見ず知らずの女性よりも、やりとりのある女性のほうが気心が知れて、双方にウィンウィンなんだとか。
「見た目で選んだ人の中から適当に空いている人をオーダーしたら失敗した、という話はよく聞きます。ツイキャス(ライブ配信アプリ)をマメにしている人もいるので、性格や声、しゃべり方などチェックしてみるのもいいですね」
精神的にも満たしてくれるひとつの手立て
男性と2人きりでの密室では、望まない本番行為をされるのではという心配も……。
「全くないとはいえません。最初は合意のうえだったのが、そのうちに仲がこじれて、お店側に“合意がないのにされた”とクレームが入るケースもけっこうあるようです。以前、大手のトップセラピストを取材したときに、売れっ子ほど勃たない、という話を聞きました。数をこなしていることもありますが、仕事のできる人ほど施術に集中しているので興奮はしてもその気にならないそうです」
むしろ、ユーザーがストーカーのようになるトラブルのほうがありがちだとか。
「ほかのお客を取らないように束縛したり、お店を出禁になったのに身分を偽って呼び出したり、誹謗中傷をしたり……。恋愛経験が少ない人やハマりやすい自覚のある人は、気をつけたいもの。
同じ人を何度も指名しないとか、時間の延長やプレゼントをして執着しないとか、マイルールを決めるといいですね。一人に依存しないために、性感、買い物、デートなど目的別に週5でセラピストを使い分けている上級者もいます」
女性にも性欲があることを当たり前のように語れる時代が来たようだ。
「“女風”は単に性欲を満たすのが目的ではなく、精神的にも満たしてくれるひとつの手立て」
だとヤチナツさんは語る。利用する・しないを含めて、女性側の選択肢が増えているのは間違いない。─あくまでも、自己責任においてであるが。
取材・文/荒木睦美
ヤチナツさん 著書に、女性用風俗店の内勤女性の視点で女風を描いた『真・女性に風俗って必要ですか?』(新潮社)や『もしも世界に「レンアイ」がなかったら』(DPNブックス)ほか。今年、両作品がドラマ化されるなど注目の新世代の漫画家。

  
    










