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ー スポンサー収入は約2億ドル

 大谷翔平選手が所属する『ロサンゼルス・ドジャース』が2年連続のワールドシリーズに出場し、日本中が盛り上がっている。彼が打席に入ると必ず目に入ってくるのが、バックネット下に掲出されている日本企業の広告だろう。

スポンサー収入は約2億ドル

「セブン‐イレブンやデロイト トーマツ グループ、ディップ株式会社など、MLBの国内オフィシャルパートナーになっている大手企業の広告を見ることができるでしょう。ただ、書体が漢字やカタカナだったりと“超日本仕様”になっているので、アメリカの球場にある広告として、違和感を覚える人も少なくないかもしれません」(スポーツライター)

 確かに、アメリカで出す広告なのであれば、普通は英語で書かれているはず。SNS上でも、

《メジャーリーグの中継で、バッターの後ろに日本企業の広告が日本語で出ているけど、アメリカの人たちはどう思っているの?》

 と疑問を感じている人も。これはいったい、どういうことなのか。

バックネット下に日本企業の広告が(ドジャース公式Xより)
バックネット下に日本企業の広告が(ドジャース公式Xより)

「実は、現地にはあの広告は掲出されていないんですよ」

 と語るのは、MLB事情に詳しい広告代理店関係者。日本だけでしか見られない“幻の広告”の真相について聞くと、

「バックネット下のあの場所は、実際の球場では“グリーンバック”と呼ばれる緑色のスクリーンになっていて、最新の位置検出技術を使ってCGの広告を合成したうえで、映像として日本に配信されているんです。ですから、日本で中継される際に私たちが目にする広告は、現地やアメリカの放送ではいっさい見えていません」

 ワールドシリーズともなれば、中継は日本だけでなく世界中に及ぶ。その際も、配信される国に応じた広告を柔軟に入れることができるそう。

「日本向けの放送では日本企業の広告が流れますし、ほかの地域の国では、その国に関係の深い企業の広告が流れることになります。かなり前からこの方法で広告を流しているのですが、日本の方がメジャーリーグ中継を頻繁に見るようになったのは、大谷選手がドジャースに移籍してきたここ数年だと思うので、あまり知られていないのかもしれません」(同・広告代理店関係者、以下同)

 ある意味、ピンポイントで日本の視聴者にアプローチできるわけだが、この広告を出すには、どのくらいの費用がかかるのだろうか。

「出稿料は大きさや場所によっても変わりますが、年間で1億円から3億円ほどと言われています。大谷選手の所属するドジャースの年間スポンサー収入は2億ドル(約300億円)とも言われており、日本企業も20社ほどがスポンサー契約を結んでいます」

 MLBのバーチャル広告は、日本企業が自社の存在感を示す手法として、今後ますます広がっていくのかも。