2025年12月28日から始まる「第104回全国高校サッカー選手権大会」に不穏な空気が漂っている。
11月2日に宮城県大会を制して、2年ぶり38回目の全国大会出場を決めたばかりの仙台育英高校サッカー部で「いじめ重大事態」が発覚。翌3日より同部は活動休止措置が取られ、仙台育英は全部活動におけるいじめ調査を進める事態に。
サッカー部で「いじめ」をうけていた3年生部員が“あらためて”被害を訴えたのは10月のことで、チームが全国大会に向けた宮城県大会に臨んでいた最中だった。
アマチュアスポーツ事情に詳しいスポーツライターが顔を曇らせる。
「当該部員が入学した1年生の春ごろから、複数の部員から容姿を揶揄するような言葉をかけられ続け、昨年に学校側に相談もしていたそうです。“加害”部員からすれば“いじり”との気持ちだったのかもしれませんが、“被害者”は抑うつ症状を診断されて現在も通院を続けていると。
つまり学校側は早々に事態を把握していたにも関わらず防止できず、サッカー部もまた調査よりも県大会を優先させたように思います。被害生徒と保護者に確認した上での出場とのことですが……」
学校は今回の事態に、生徒と家族に被害を防止できなかったことを詫びた上で、「学校としての責任を深く自覚し、生徒とご家族の心の安寧に向けて対応し続けることで、信頼回復に努めてまいります」とのコメントを発表。
全国大会出場に関しては調査結果を待って判断するとのことだが、先のスポーツライターも「辞退は免れないのではないか」と懸念する。
「今夏の高校野球甲子園大会に出場した、広陵野球部の事案と重なります」
広島県大会を勝ち抜いて「第107回全国高等学校野球選手権大会」に出場した、甲子園常連の名門・広陵高校野球部に激震が走った暴力問題。2025年1月、1年生部員に対して上級生が暴力を振るうなどの不適切行為が発覚し、3月に高校野球連盟から厳重注意が下された問題だ。
甲子園開幕後にSNSで被害を“告発”
「ところが問題が表面化することなく、広陵は予選大会を通過したのですが、甲子園開幕後に被害生徒の保護者が暴力だけでなく、性的被害も受けたとしてSNSで告発。これが拡散されると広陵、高野連の対応に批判が大きくなったのです」(前出・スポーツライター、以下同)
すると広陵は甲子園1回戦で勝利した後に、異例の途中辞退を発表。「新たな(いじめの)事実が発覚したわけではない」と説明する同校・堀正和校長は、あくまでもSNSでエスカレートする誹謗中傷、不適切な書き込みがあったため、生徒や教職員に危害が加えられることを危惧しての措置とした。
「案の定、今回のいじめ問題が勃発後すると仙台育英、そしてサッカー部員による飲酒行為が発覚したばかりの大阪代表・興国高校にも《辞退しろ》との批判が向けられています。仮に被害生徒や保護者の許しを得た上で全国大会に出場できたとしても、1度火がついたネットで許されることはないでしょう。
真面目に練習に取り組んで全国大会出場権をつかんだ部員、特に3年生は気の毒に思いますが、事前にせよ、途中にせよ、出場辞退は避けられない現状にあるでしょう」
スポーツ教育で結果を出し続ける同校だが、選手としてだけでなく生徒としての指導にも時間をかける必要があるようだ。
















