『ONE PIECE』も『ちいかわ』もパクられた

 しかしパリ市民がここまでSHEINの出店に懸念を示すのは、今回のラブドール問題だけではないというのは流通に詳しいジャーナリスト。コンプライアンスや安全面で数多くの問題を抱えてきたことを指摘する。

「日本を代表する人気コミック『ONE PIECE』に登場する“ゴムゴムの実”にそっくりなニセモノ商品を販売したり、人気キャラクターちいかわを“魔改造”したおぞましい類似商品など、これまでに何度も違法の品を販売しています。その度に著作権・商標権侵害疑惑が浮上し、デザイナーやクリエイターからも“盗作だ”と訴えられています」

左がSHEINの商品、右が悪魔の実のフィギア
左がSHEINの商品、右が悪魔の実のフィギア
【写真】「幼い女の子に見える」と問題視された成人用玩具

 違法な類似品の発売だけでなく、さらに怖い発がん性物質騒動も記憶に新しい。

サンダルに帽子、水着に浮き輪、女性用の下着から発がん性物質が検出され、国内外で大きく報道されました。韓国の調査機関によると、サンダルからは韓国基準の229倍の発がん性物質が出たようです。商品の安全性に大きな疑問符が付いただけでなく、安すぎる価格設定の裏にある、劣悪な労働環境や環境負荷といった倫理的な問題が指摘され続けています」

 エシカルな消費を重視し、ファッションの都の代名詞であるパリジェンヌたちからは、安さだけを追求するビジネスモデルへの不信感が根強いのだろう。ラブドール問題でオンラインストアを停止すると同時の実店舗オープンの矛盾。店舗にラブドールが陳列してないことを願う。