夫婦で共倒れ……精神安定剤を服用
娘が1歳になると保育園に預け、妻も仕事を再開。2歳を過ぎてイヤイヤ期に入ると、予想もしない大変な事態が待っていたという。
「単純なイヤイヤから理由のあるイヤイヤになって、でもまだ言葉でうまく説明できないし、感情も整理しきれるほどではないので、理不尽に泣き叫ぶ。僕は自宅で仕事をしているので、頭が仕事モードのまま、理屈で解決しようとすると、そうじゃないって、さらに悪化する(笑)。
妻もまじめなので、なるべく栄養バランスが良く好き嫌いしないように考えてごはんを作っていますが、娘が食べないんですよ。手を替え品を替えて作っても食べてくれないと精神的につらいと話していましたね」
イヤイヤが続く娘の相手に疲弊して、まず妻がダウンした。気分が落ち込んで頭痛がしたり、何もないのに涙がポロポロと流れてくる。
仕事から帰宅した妻が疲れ果ててリビングで寝込んでしまうと、娘が構ってほしくて「ママ、ママ」とまとわりつく。サトルさんは「ちょっとやめてあげて」と必死に止めた。妻に、「こんなところで寝ても疲れが取れないから寝室に行きなよ」と強めに言うと、余計に落ち込んでしまったそうだ。
「肉体的に疲れて寝ているときは、同じような言い方をしても素直に聞くのに、精神的に疲れてくると、何もできないことを責められていると感じるみたいです。自分の中にこうあるべき母親像があるのかもしれないですね」
心療内科に行くと妻は育児ノイローゼと診断された。そのころから娘のイヤイヤがさらに激しくなり、とうとうサトルさんもダウンした。
慢性的頭痛に加え、妻や子育てのことを考えた際の気分の落ち込み、時に精神的ストレスから嘔吐することもあった。妻と同じ病院を受診すると、「抑うつっぽい症状が出ている」と言われ、今も軽い精神安定剤を飲んでいる。
父親、母親の役割に夫婦そろって疲弊し、共倒れする寸前まで追いつめられていた。
「娘のイヤイヤは年が明けて少し落ち着いてきましたが、2人目は無理だねと話しています。もう1人生まれて、また3、4年同じことを繰り返すのは、体力的にも精神的にも余裕がない。僕も妻も、自分の時間を大切にしたいタイプではあるので」






