現地で見せた愛子さまのお心遣い
愛子さまらしく自然体で振る舞いつつも、気遣いを欠かさない姿勢が随所に見られた今回のご訪問だが、その裏ではたゆまぬ努力があったという。ラオス行きに先立ってご進講を担当した有識者の1人で、ラオス近代史を研究する菊池陽子東京外国語大学教授はこう振り返る。
「ご進講の際は愛子さまだけでなく、両陛下にもご同席いただき、1時間ほどでラオスの歴史についてご説明いたしました。愛子さまは特に内戦期の空爆被害についてご関心をお持ちで、短い時間ながら、“具体的にどれくらいの被害があったのか”など積極的にご質問されていました。
今回、ラオスで不発弾の啓発センターに足を運ばれていることや、いただいたご質問からも、戦争で被害を受けた人々に強く心を寄せていらっしゃることが伝わりました」
愛子さまは、菊池教授の話にメモを取りながら熱心に耳を傾けられたという。そんな愛子さまの現地でのご動向を菊池教授は感慨深く見守ったという。
「ラオスの文化や歴史を尊重してくださっていることが随所に表れていて、ラオスを研究している者としてうれしく存じました。外交関係樹立70周年という節目に訪問してくださったことは、両国間の関係を再確認し、未来へつなげていくきっかけになったと思います」
ご訪問前から入念に準備を重ねられた愛子さまの篤実さは、現地で交流した人々にも伝わったようだ。国際協力NGO「IV-JAPAN」の代表理事として、ラオスで女性たちの職業訓練に携わる冨永幸子さんはこう話す。
「愛子さまとは首都・ビエンチャンで、ご懇談の機会をいただきました。初めに私が“ラオスで職業訓練をしています”とお話しすると、愛子さまは既にそのことをご存じだったようで。そこからいろいろとお声がけやご質問をいただきました。
ご出発される際は“お身体にお気をつけて今後も頑張ってください”とおっしゃっていただいて大変ありがたかったです」
ラオスで30年以上活動してきた冨永さんの胸には、もうひとつ心に深く響いたことがあるという。
「愛子さまが2日間にわたってラオスの伝統衣装『シン』をお召しになってくださったことは、ラオスに対する尊敬のお心が伝わって、とてもうれしかったです。
ラオスに住む人々は、官庁や結婚式など正式な場に伺う際、必ずシンを着ていくのです。ラオス人がとても大切にしている伝統衣装なので、そういう気持ちを酌み取られた愛子さまのお気遣いは素晴らしいと思いました」











