卵子凍結の初期費用は医療機関によって異なり、平均して30万~50万円程度。COCOさんの場合は約47万円だった。東京ではおよそ20万円の助成金が支給されるため、申請すれば半額程度で済む。
将来思ったような結果にならなくても納得できる
「卵子凍結に関心を持っている友人は多いのですが、今のところ行動に移しているのはやはり都市部に住んでいる人だけ。少子化は社会問題でもありますし、全国的に助成金の仕組みが広がってほしいですね」
卵子凍結を始める前に、まずはAMH検査を行い、体内に残っている卵子の数を調べるのが一般的な流れだ。COCOさんは幸いにも年齢に比べて数値が高く、問題なく卵子凍結を行うことができた。
「30歳前後など比較的若い年代でも、人によっては思ったより卵子の数が少ないこともあります。卵子凍結に少しでも興味があるなら、自分の身体を知るためにも、検査だけでも早めに受けておくことをおすすめしたいです」
実際に通院を始めてからは、複数個の卵胞を育てるために皮下注射や薬の内服を続けた。
「採卵までの3週間、ひどいPMS(月経前症候群)のような状態が続きました。顔はむくむし、身体もしんどかったけど、やっぱり赤ちゃんの命に関わることですから。そんなに簡単じゃないんだ、大変な努力をして初めて得られるものなんだ、と身をもって感じる日々でした」
仕事では不調を表に出さないようにしていたが、採卵直前になって、医師から「卵胞の生育がよくない」と告げられたときは思わず涙があふれてしまったという。
「実はよくあることらしいんです。でも、おなかの中で子どもが育っていないと宣告されたような気持ちになっちゃって。ホルモンバランスの乱れで、精神的に不安定になっていたのかもしれません」
採卵日の調整も困難を極めた。医師から指定された日は大阪で重要な仕事が入っていた。だが採卵日を遅らせると、せっかく育った卵胞が破裂してしまう可能性が高くなる。医師と相談を重ね、予定より少し日にちを早めた。
「思ったよりも多く採卵できて、結果として16個の卵子を凍結しました。もちろん、これが将来の受精に確実につながるわけではありません。でも、チャンスを残せただけでも満足。自分でとことん調べて、できることはすべてやったからこそ、将来思ったような結果にならなくても私は納得できます」
もし迷っているなら、「絶対にチャレンジしてほしい」とCOCOさんは断言する。
「子どもはいらないと考えている人も、この先気持ちがどう変化するかわからない。そのときに後悔してほしくないんです。今できることをやっておけば、将来何を選んだとしても、選択肢を広げる努力をした過去の自分に対して“ありがとう、よく頑張ったね”という気持ちになれるはず」
キャリアやライフスタイルの多様化が進み、平均初産年齢が年々上昇するなか、東京都では2024年時点で約4500人が卵子凍結を実施済みだという。
少子化問題が深刻な今、卵子凍結は決して個人だけの課題ではない。女性たちの決断を、社会全体で真剣に考える時が来ている。
CRAZY COCO・クレイジーココ(39) 元外資系航空会社のCAで吉本興業所属のお笑い芸人。「東京CAと関西CA」の違いなどCAあるあるネタでSNSを中心に支持を得ている。











